米Allied Business Intelligence(ABI)が米国時間1月15日に,IEEE 802.11x向けLSI市場に関する調査/予測結果を発表した。それによると,全世界の2002年における出荷個数は2300万個から2500万個の範囲で,2001年の790万個に比べ大幅に増加した。ABI社では,「SOHOおよび家庭向け市場における急速な伸びと,世界的に802.11xベースの無線LAN(WLAN)ソリューションに対する需要が高まっていること」を増加の理由としている。

 ABI社は,LSI価格の急落,対象市場が実際に存在することに対する確信の高まり,IEEE 802.11技術に対する関心の増加,といった要素の影響で,2002年から2007年にかけてIEEE 802.11b/a/b対応LSIの出荷数が年平均成長率43%という割合で増加するとみる。その結果,2007年の出荷個数は1億4750万個に達し,11億3000万ドル規模の市場になる。

 ABI社上級アナリストのJohn Chang氏は,「WLAN市場においては価格と需要の関係が弾力性に富んでおり,価格が下がるたびに業界では新たなチャンスや用途を獲得できる」と説明する。「この市場は競争が激しいので,米Intersilや米Intelなどの企業に対抗して成功を収めるのなら,参入する企業は相当量のリソースを投入する必要がある」(同氏)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・2004年までには,デュアル・バンド対応LSIの出荷個数が,IEEE 802.11gおよび同b対応LSIの出荷個数を上回る

・2003年に台湾のLSIメーカーが市場に参入することで,IEEE 802.11b用LSIの価格低下に向けた圧力がさらに高まる

・2004年以降もIEEE 802.11b市場は好調を持続する。しかし,LSIの対象とする市場は次第に組み込み用途に移っていく。特に,特に消費電力の制約が厳しいPDAや携帯電話機向けが増える

・今後IEEE 802.11gがSOHO/家庭市場への影響を拡大し,2003年には出荷個数の18%を占めるようになる

・価格低下が続く傾向は現在のIEEE 802.11bから同gやデュアル・バンドLSIにも波及する

・CMOSとZero-IF(ZIF:Zero Intermediate Frequency)アーキテクチャが,シングル・チップ・ソリューションなどより低コストなアーキテクチャを実現するに当たり重要になる

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