BtoB向けソフトウエアの大手の米Aribaは,Nasdaqから上場廃止の警告を受けたことを米国時間1月16日に発表した。同社は,同市場ルールの「Nasdaq Marketplace Rule 4310」の履行を怠り,同社の2002年9月30日締めの会計年度における年次有価証券報告書(Form 10-K)を期日までに提出をしなかった。そのため,同社の株式は上場廃止の対象になる。

 同社は,同市場の株式上場資格を決定する委員会が,今回の決定を再検討する前に審問を求める予定だが,これは上場継続を保証するものではない。提出不履行の結果として,同社の株式銘柄は1月17日の金曜日から「ARBAE」と表示される。

 同社は,これまで明らかにされなかった帳簿外の取引があったことに加えて,決算見直しの対象となる期間を拡大することを発表した。

 同社は,前年12月に2001会計年度の決算報告を再発行する必要があると警告を受けていた。しかし,期間を拡大して2000年1月から2002年6月までの10四半期の決算報告を再発行すると発表した。

 同社は,前年12月に不正確な記帳があったことを明らかにしている。内容は,2001年3月に同社の共同設立者であり会長であるKeith Krach氏が,当時の社長兼CEOだったLarry Mueller氏に1000万ドルを支払っていたというものだった。取引は直接両者間で行われており,企業資金が使用されてなかったため,当初これを個人の取引として扱っていた。しかしこの取引は,Krach氏から同社に対する資本拠出とMueller氏に対する同社からの報酬として後に記録されていた。

 これ以外にも,両者間で同じような取引が行われていたことが1月15日に明らかになった。2000年9月からMueller氏が職を退いた2001年7月まで行われており,Krach氏は120万ドルを同氏に提供していた。

 また,同社が2000会計年度に買収した企業により,個人に対して発行されたストック・オプションの経費の分類の見直しも行っていると発表した。これまでは営業権として償却されていたが,これらの経費も株式ベースの報酬経費として計上されるようになる。

 同社は,まだ会計の見直しを完了しておらず,そのため提出期日に間に合わなかったと説明している。また,問題となっている期間の決算報告の再発行により,同期間におけるネット・キャッシュ・フローが影響を受けることはない,としている。

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