ドイツのSAP AGは,アプリケーション統合プラットフォーム「SAP NetWeaver」を米国時間1月16日に発表した。米Microsoftの.NETおよび米IBMのWebSphere(J2EE)との相互接続性を備え,「多種多様なインフラ管理,複雑さの最小化,総所有コスト(TCO)削減を実現可能な柔軟性を顧客に提供する」(SAP社)という。

 SAP NetWeaverは,SAP社の全ソリューションに対応するプラットフォーム。同社が同日発表したエンタプライズ・アプリケーション向け計画「Enterprise Services Architecture(ESA)」(発表資料)をベースとする。

 「同プラットフォームは,同社のソリューション・スイート用バックボーンとして包括的,オープンかつ柔軟なインフラを提供する。これにより企業は,既存IT投資から付加価値を見出せるようになる」(同社)

 先ごろSAP社,IBM社,Microsoft社は,共同で技術サポート・センターを設立した。同センターでは,顧客のプロジェクトにおけるSAP NetWeaverの利用や,SAP NetWeaverとWebSphereおよび.NETとの統合を支援するために,スタッフ派遣やサポート提供を計画している。

 SAP社はNetWeaverに合わせ,「composite application framework(複合アプリケーション・フレームワーク)」と「master data management(MDM:マスター・データ管理)」と呼ぶ2種類の機能強化についても明らかにした。

 複合アプリケーション・フレームワークはSAP NetWeaverに組み込まれており,さまざなツール/フレームワーク/ルール/方法論を使うことで,多部門にまたがるビジネス・プロセスに対応するアプリケーションの作成が可能となる。一方のMDMは,複数のシステムやベンダー場所のあいだでデータを統合する際に,広範な問題を解決するサービスという。

 またSAP NetWeaverには,マルチチャネル接続,企業ポータル,ビジネス・インテリジェンス(BI),ナレッジ・マネジメント,ビジネス・プロセス・マネジメント,J2EE/ABAP対応,ライフサイクル・マネジメントといった機能や,データベースおよびOS非依存といった特徴を備える。

 SAP社では,「今日の企業はさまざまなITメーカーや独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)による技術とフォーマットを統合する必要があり,それがITコストを左右する主要因になっている」と説明する。SAP NetWeaverは,1つのプラットフォームで全階層(人々,情報,プロセス)にわたって.NETとWebSphereを完全に相互接続するだけでなく,サードパーティ製アプリケーションをそのまま統合できるという。

 「さらに従業員が習得済みの技能を生かしやすいので,新規採用/維持/教育にかかるコストを削減できる」(同社)

 SAP NetWeaverは同日より利用可能とする。MDMサービスの顧客向け出荷は,2003年第3四半期の予定。

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