スパム・メール対策技術を提供する米Postini社が,スパムに関するデータを米国時間1月15日に明らかにした。同社は,スパムとウイルス・フィルタリング・サービスを300万人を越えるユーザーに対して提供している。同社は,同サービスで1日に4000万通を越える電子メール・メッセージを受信している。今回発表されたのは,これらメールのデータを集計したもの。

 2002年に同社サービスの利用者に送信されたスパム・メールは150%増加している。同年,同社は90億通を越えるメッセージを処理した。その中で,1月にスパムだと判断されたメッセージの割合は20%だったが,12月には60%を越えるようになった。2003年1月13日を例にとると,同社は1日に2190万9771通のスパム・メッセージを処理している。

 800を越える企業とサービス・プロバイダを含む顧客ベースでは,スパムの割合がメッセージ全体の80%にも上る。一般的に大規模企業の方がスパムによって多大な被害を被っているが,すべての規模における企業と業界が影響を受けるようになった。そのため,スパムに関連するIT費用,法的責任,生産性の低下に対して敏感になっている。同社のデータによれば,スパムの64.5%が特価製品やプロモーションに関わるもので, 7.9%が手軽な金儲け,6.6%がアダルト関連,21.2%がその他の内容となっている。

 調査会社のGartner社は,「企業に対するスパムは,少なくとも2004年には引き続き増加する。スパムが迷惑以上の存在だと感じている企業は,もっと積極的に重要な通信チャネルを守る必要がある」としている。

 また,スパムは世界的な問題であり,米国の電子メール・ユーザーに送信されるスパムのほぼ50%が米国外から送信されていることも明らかになった。そのため,連邦,州,地方政府のレベルにおけるスパムの法的規制は,米国内のスパム問題の軽減にあまり効果が期待できない。

 同社によれば, DHA(Directory Harvest Attack)と呼ばれる電子メール・アドレス収集技術がスパム増加の一因になっている。同技術は,保護されていないメール・サーバーから何千という有効な電子メール・アドレスを収集する技術。また,スパムの送信者は,アンチ・スパム製品でフィルタされないようにグラフィック,HTML,またそれぞれのスパム・メッセージに変化を加える技術などを使うようになっているという。

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