「米国の大手無線キャリア間でやり取りされるショート・メッセージのうち,120秒以内に送信先へ届かなかったメッセージは7.5%に達する」。米Keynote Systemsが米国時間1月15日に,ショート・メッセージング・サービス(SMS)の配達状況に関して調査した結果を発表した。
調査は,Keynote Systems社の「Wireless Perspective Carrier Edition Service」ソフトウエアを使い,他社サービスを利用するユーザーへ送信された2万5966通のメッセージを追跡したもの。2002年12月1日から14日にかけて実施した。
SMSを利用するユーザーは,送受信するメッセージの数に応じて課金される。またユーザーは通常,相手に送ったメッセージが届いたかどうか,すぐに知ることができる。ところがキャリアは,いったん自社のネットワークを離れたメッセージについては,送信先へ配達されたかどうか知る術がない。このため,相手に届かないメッセージは,ユーザーの不満を募らせるだけでなく,売上高の損失を意味するという。
米国のセルラー通信業界団体CTIA(Cellular Telecommunications and Internet Association)のCEO,Tom Wheeler氏によると,「2001年6月に送信されたメッセージの数は3000万通だった。それが2002年6月には10億通と,驚異的な伸びをみせている」という。
また,Keynote Systems社Wireless Perspective Service部門担当ジェネラル・マネージャのChuck Mount氏は,「SMSの普及を妨げている要因のひとつに,異なるキャリア間の相互接続性が挙げられる。3000万通のメッセージのうち10%が不配だとすると,キャリアは膨大な利益を逃していることになる」と指摘し,次のように述べている。
「キャリアが提供するSMSは過去1年間に向上しているが,他社のサービスを利用するユーザーへ送信した場合のパフォーマンスについては,バラツキがある。この1年間で,他社ユーザーへの送信サービス展開するキャリアが増えているが,売上高の損失を防ぐためにも,キャリア間の相互接続性を充実させる必要がある」(同氏)
■ ショート・メッセージの受信に要した平均時間(単位:秒) AT&T Cingular Nextel T-Mobile Verizon 平均 AT&T 13.98 10.57 15.59 10.7 11.8 12.66 Cingular 11.45 9.11 17.85 11.54 14.03 12.58 Nextel 15.75 23.98 8.71 15.54 17.2 15.33 T-Mobile 10.86 10.19 15.81 11.63 11.79 12.1 Verizon 8.86 9.32 16.47 8.74 20.67 13.63 平均 12.26 12.65 14.15 11.6 15.81 出典:Keynote Systems社
■ ショート・メッセージの平均配達率 AT&T Cingular Nextel T-Mobile Verizon 平均 AT&T 97.80% 93.80% 93.50% 93.70% 97% 95.50% Cingular 96.40% 97.30% 92.90% 93.40% 94.50% 95% Nextel 96.90% 96.20% 89.10% 94.10% 97.10% 94.30% T-Mobile 86.70% 84.90% 81.60% 87% 88.60% 86% Verizon 96.40% 95.70% 83.20% 93.90% 96.60% 93% 平均 94.80% 93.80% 87.40% 92% 95% 出典:Keynote Systems社
◎関連記事
■「米国IM市場で頭角を現す米Trillian,大手IMサービスとの相互操作性が武器」,米ジュピター
■米スプリントがメッセージング・サービスを拡張,「他社のユーザーにも送信できる」
■米ベリサインが通信事業者向けの各種サービスを発表,「次世代データ/音声サービスへの“橋渡し”
■「ショート・メッセージングは,家庭や仕事に忙しい女性に利用価値大」と米調査
■定着したIMサービス,家庭/職場ユーザーとも30%以上が利用,首位は「AOL Instant Messenger」
■採用企業増えるインスタント・メッセージ(上)
■【SUPERCOMM 2002速報】 携帯電話市場はデータ通信で立て直す。日米欧の有力企業がリレー講演
■「世界の無線データ市場は2010年に4500億ドル規模に」,米調査会社
[発表資料へ]