「技術革新は,消費者にワイヤレス環境をもたらし,時間,場所,デバイスを選ぶことなく人,情報,エンタテイメントへのアクセスをより柔軟にする」。米Intel社CEOのCraig Barrett氏が,米国時間1月9日にラスベガスで開催中の消費者向け電子機器の展示会「2003 International Consumer Electronics Show(CES)」のフォーラムにて発言した。

 同氏は,「ワイヤレス化は,消費者家電の次のステップである」としており,基調講演にて,市場を方向付ける技術,消費者にワイヤレス環境をもたらす業界の革新,家庭内のコンピューティングと民生電子機器に相互運用性をもたらす必要性について語る予定となっている。

 世界のデジタル化への移行は,パソコン,デジタル・デバイスとコンテンツの普及,ブロードバンドと無線技術の急成長,インターネット・ネットワークの増築によって促進されている。同時に,家庭向けパソコン,携帯電話,インターネットを使いながら成長してきた若い世代が,デジタル消費者として市場に参入してくる。そのため,同氏によれば,すべての消費者がデジタル・コンシューマになるという。

 「消費者は,優れた移動性,生産性,スタイルを提供するデバイスとともに,デジタル音楽,映画,写真,ゲームをより多くの場所で楽しむための新しい手段を提供するデバイスに魅力を感じるだろう。ワイヤレス化により物理的な接続を最小限に抑え,使いやすい技術を通じて仕事,生活,遊びの新しい方法を模索する想像力を刺激する」(同氏)

 ワイヤレス化のプロセスを促進するために,Intel社はシリコンの機能を高め,新しいコンピューティングと通信アーキテクチャを構築するという。同氏は,「この開発努力により,より多くのワイヤレスのデジタル・デバイス,ユーザー,チャンスが生成される」としている。

 2年前のCESにて「Extended PC」のコンセプトを発表して以来,インターネット接続を持つ強力なパソコン,デジカメ,MP3プレイヤ,PDAといった新しいデジタル製品が消費者の世界に登場している。しかし,「パソコンは,もっともパワフルで柔軟なデバイスであり続ける。そして新しい機能で進化を続ける。パソコンはワイヤレス化され,自由と柔軟性が高まる」と同氏は語る。

 同年前半に,同社はノートブック・コンピュータの通信機能を高める「Centrino」モバイル技術を発表する。同技術は,ワイヤレス機能とともにバッテリ寿命を延ばすなど移動性を高めるための機能を提供する。

 同社が先ごろ発表した「Hyper-Threading(HT)Technology」技術を引き合いに出し,同氏は引き続きデスクトップ・パソコンの革新にも注力していくと語った。Pentium 4に採用される同技術により,リアルなPCゲームを楽しみながらCDを焼いたり,ウイルス・スキャンを実行しながら写真の編集をするなどのいくつかのコンピューティング・アプリケーションを同時に実行できる新しいクラスのデスクトップ・パソコンが実現するという。

 また,単一のデバイスに通信とコンピューティング機能を統合した「XScale」技術は,同社の3番目のアーキテクチャとなる。同技術によって,新しい携帯電話,PDA,パーソナル・メディア・プレイヤ,スマート・ディスプレイといった新しいタイプのハンドヘルド・デバイスが提供される。スマート・ディスプレイは,802.11b無線LAN技術を使ってデスクトップ・パソコンの情報やアプリケーションにアクセスできるモバイル・モニターとして使うことができる。

 同氏によれば,これらのアーキテクチャとデバイスが,ソフトウエアとワイヤレス技術を通して接続され,相互運用されるようになるという。

 2003年に同社は,より多くのPCと消費者家電業界のリーダーたちと協力して,個人向けコンピューティング・デバイスと消費者家電が容易に動作するDigital Homeの実現を促進する。これには,家庭におけるデバイス間の相互運用性とコンテンツを保護するためのソリューションは,同構想を実現するための重要な要因となるという。

 同氏の基調講演では,拡張されたワイヤレス・パソコン,Centrinoモバイル技術,将来のDigital Homeのデモが行われる。

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