「1990年代後半に,アナリストは企業間取引(BtoB)市場が2000年に6000億ドル規模,2004年には6兆3000億ドル規模に拡大すると予測していた。実際の成長速度はもっとゆるやかだ。しかし今後2年で企業間取引導入を試みる会社が増えるだろう」――米Stanford Business Schoolは企業間取引市場に関する調査結果を米国時間12月19日,発表した。

 企業間取引市場の売上高は,今後2年で433%成長する。現在,会社における製品やサービス購入のうち,企業間取引を利用する割合はわずか2%だが,これが11%に拡大する見通しだ。

 「1990年代後半,我々はすべてのことがインターネット上で行われると考えていた。市場アナリスト,ジャーナリスト,投資家は過剰に期待を膨らませていた」(Stanford Business School会計科助教授のAntonio Davila氏)。しかし企業間取引の導入は,段階的に始まった。

 企業間取引の普及が思ったほど進まない理由として,Davila氏は「企業がジレンマに直面してるため」と説明した。「どの技術に賭けるかで迷っているのだ。それが全工程を遅らせている。市場を支配しているシステムは特になく,製品やサービスをオンラインで購入するいくつかの手段が存在している。電子調達ソフトウエア,eマーケットプレース,企業間オークション,コンソーシアム型取引などだ」(同氏)

 これらの手段はさまざまな異なる目的に応じて機能する。そのため,「万人にとって優れた技術というものはない」(同氏)。複数の選択肢が普及速度をゆるめているが,そのおかげでユーザーは目的に合った手段を選ぶことができる。大企業は電子調達ソフトウエアを利用する傾向にある。比較的小規模の企業はコンソーシアム型取引を好む。「最終的には,複数の技術が各々違う分野で活躍し,均衡のとれた市場が生まれるだろう」(同氏)

 また,企業間取引導入に伴うリスクも,普及を妨げている。企業経営者は,企業間取引と既存の情報システムとの統合が容易でないこと,サプライヤや顧客との関係が変化する可能性があることなどを懸念している。セキュリティや管理メカニズムも不安の種だ。

 Davila氏によると,積極的に企業間取引を導入している会社は,それほどリスクを感じていないという。企業間取引に大幅なリソースをつぎ込んでいる会社は,導入を渋る保守的な競合社より,ブランド認知度や顧客サービスなどの面で優位に立つ傾向にある。

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