米Motorola傘下の米Metrowerksが,組み込み向けLinuxの米Embedixを買収することで最終合意に達したと米国12月17日,発表した。

 Metrowerks社はこの買収により,Embedix社の組み込み向けLinuxの開発ツール「Embedix SDK」「Embedix Plus for Smart Handheld Devices」「Embedix Plus RG for Residential Gateway」「Embedix Plus for Digital TV」のほか,同社の主要経営陣,エンジニアリング,マーケティング,営業などの人員,すべてを獲得することになる。買収は関係者の同意や当局の承認を経て,間もなく完了する予定である。

 Metrowerks社はEmbedix社の資産買収によって,PDA(携帯情報端末),スマート・ハンドヘルド機器,家庭用ゲートウエイ向けに,Linuxベースの開発ツールやプラットフォームの提供を目指す。また,自社の組み込み向け開発ソリューションである「CodeWarrior」製品ラインとEmbedix社の開発プラットフォームを統合し,大半のLinuxカーネルに対応できるようにするという。

 Metrowerks社はさらに,無線市場と民生電子機器市場向けにミドルウエア・ソリューションやIPスタックの提供も計画している。これらエンド・ツー・エンドのソリューションと専門化したサービスによって,「開発者やプラットフォーム設計者が,Linuxベースの製品開発に要する時間を短縮できるように支援する」(同社)。

 米IDCおよび米First TechnologyのアナリストであるPaul Zorfass氏は,「組み込み向けLinux市場はこれまで,企業向けLinux市場とは異なり信用性や安定性に欠けていた」と説明する。「今回の提携は,Motorola社といった大手の子会社が関与しており,Linux市場が成熟しつつあることを示している。Metrowerks社は,開発ツール/サービスのプロバイダとして定評があるため,OEMも組み込み向けLinuxを戦略的プラットフォームの選択肢として検討できるようになる」(同氏)

 なお,Metrowerks社は買収と同時に,Metrowerks Linux Solutions Group部門を立ち上げる。これにより,「OEMの迅速な市場参入を支援する」(同社)。同部門は,Metrowerks社Linuxソリューション担当者副社長兼チーフ・テクノロジ・オフィサのBerardino Baratta氏が統括する。

 「Linux OSは,複数のアーキテクチャにまたがる組み込みアプリケーションを開発するための理想的なプラットフォームだ。広範な開発者コミュニティによって革新的な技術が生まれやすく,開発費の削減にも貢献する。当社のCodeWarriorツールに,Embedix社の技術を統合して,開発分野に多彩なオープンソース・ソリューションとサービスを提供する」(Baratta氏)

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