米Sage Researchは米国時間12月16日に,「IT企業がSANを導入する際の一番の課題は,メインフレーム,Unix,Windows NT間におけるファイルの相互運用性を確保することである」などとする調査結果を発表した。

 Sage Research社は四半期ごとに,ITプロフェッショナルによる討論会を実施している。今回の調査結果は,12月9日に行った討論会の内容をまとめたもの。CIOやCFOなどIT企業における意思決定者や,システム導入に発言力のあるネットワーク管理者など10人を招いて実施した。

 Sage Research社リサーチ・ディレクタのChris Neal氏は,「ベンダーは,異なるプラットフォーム間の相互運用性を向上したソリューションを提供することで,競合社との差別化を行える」と指摘した。また「ファイバ・チャネルの低価格化が進んでいることから,IPベースのSANを利用したコスト削減に懐疑的な企業もある。実際,IPベースのSANを導入すべきか静観している企業が多い」と前置きした上で,「それでも,IPベースのSANはベンダーにビジネス・チャンスを提供するだろう」と予測した。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・ほとんどの企業は最近になってSANを導入し始めた。使用目的は社内データベース用が一般的である

・企業はSAN導入によって,ストレージ保守費の削減,拡張性の向上,より迅速なデータ回復を実現したいと考えている

・Unix,メインフレーム,Windows NTのアプリケーションを一つのSAN上で利用するのは困難である。このため企業にとって,相互運用性の確保がSAN導入の際の一番の課題となっている

・自社のSANを,MAN(Metropolitan Area Network)やWANに接続しているという参加者はゼロだった。また障害対策としては,オフサイトでテープにバックアップを取る方法が一般的で,参加者全員が「SANを基盤としたホットサイトの構築に投資する必要はない」という考えを示した

・IPベースのSANに関しては,「コスト削減につながる」と「ファイバ・チャネルの低価格化が進んでいるためメリットはない」の意見に分かれた。しかし,総じて「IPベースのSANが普及するまで静観する」企業が多い

・参加者の半数がバーチャリゼーション技術を利用しており,「ストレージ資産の有効活用やコスト削減につながる」という。一方で,「多種多様のデバイスとアプリケーションを管理するのは複雑で困難」という意見もあった

・2003年もIT予算の引き締めが続くが,ストレージに対する需要は増加する。このため,効率的なストレージ管理ソフトウエアの必要性が高まる

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