「オンライン不正防止への取り組みが高まっているが,米国のオンライン販売業者は2002年ホリデー・シーズンに,詐欺行為や機会損失によって約5億ドルの収入を失うことになるだろう」などとする調査結果を,米Gartnerが米国時間12月11日に発表した。

 約5億ドルの内訳は,詐欺行為による被害額が推定1億6000万ドル,正当な取引にも関わらず疑わしいために取引を拒否した場合の損失が約3億1500万ドルである。

 調査は,25社の主要オンライン販売業者を対象に2002年10月に実施したもの。2002年6月に50社以上の主要オンライン販売業者を対象に実施した調査のデータも参考にした。

 Gartner社副社長兼調査ディレクタのAvivah Litan氏は,「オンライン販売業者の報告によると,不正行為の手口はますます巧妙になっているという。対策に取り組んでいるものの,2000年半ば以来,詐欺行為による損失額は売上高全体の1%からいっこうに減少しない」と説明した。

 「オンライン販売業者はクレジット・カード会社の協力が得られないことに不満を感じている。一部のクレジット・カード発行会社は,オンライン販売業者が疑わしい買い物客の名前や住所を照会しようと電話で問い合わせても,応対しない場合がある。また,オンライン販売業者は米VISAの『Verified by VISA』や米MasterCardの『MasterCard SecureCode』といったクレジット・カード保護システムに対しても,明確な効果があるのか懸念を抱いている」(Litan氏)

 同氏は,オンライン不正行為や機会損失による損害をくい止めるために,次のような3段階の体制を整えるようアドバイスしている。(1)詐欺行為パターンをベースにしたリアルタイム・チェックを実施する。(2)さらに手作業で疑わしいトランザクションを検出する。(3)不正行為による損害をクレジット・カード発行会社から回収できるようにする。

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