米EMCが米国時間12月11日に,中規模企業向けNASの新製品「EMC Celerra NS600」を発表した。「企業向けのNAS機能に,可用性が高く経済的なストレージ・システム『EMC CLARiiON』を組み合わせた製品」(EMC社)という。

 Celerra NS600は中規模NASシステムで,企業向けNAS運用システム「Data Access In Real Time(DART)」にCLARiiONストレージ・アーキテクチャを結合させた。

 EMC社によると,Celerra NS600は“経済性を重要視した構成”と“性能を最大化した構成”という2種類の異なる設定が可能な柔軟性を備えている。さらに,事業規模の変化に伴いどちらの設定にも簡単に変更できるという。

 経済性を重要視した構成の場合,Celerra NS600の価格は競合NASソリューションの約半額でありながら,優れたコスト・パフォーマンスを示すという。一方,性能を最大化した構成では,「Celerra NS600の単位時間当たりのI/O性能は,競合NASソリューションに比べ2倍以上ある」(同社)。

 「Celerra NS600を導入することで,可用性の高いシステムを簡単に利用できるようになる。また,要求する性能の高まりに応じてスムーズなアップグレードが可能だ。その上,当社の提供するほかの自動化ネットワーク対応ストレージ・ソリューションとの密な統合にも対応している」(EMC社ストレージ・プラットフォーム・オペレーションズ担当上級副社長のDave Donatelli氏)

 EMC社はCelerra NS600の発表に合わせ,Celerra製品系列の全製品で利用可能なNAS管理ツールについても明らかにした。各ツールの内容は以下の通り。

・「Celerra Web Manager」:WWWベースの管理ツール。ネットワーク設定,ハードウエア設定,ファイル・システム管理などの基本的なNAS管理機能を実行可能

・「Celerra Native Manager」:同社の主力管理ソフトウエア・ソリューション。Windowsに対応

 Celerra NS600は直ちに利用可能とする。記憶容量が1Tバイトの構成の場合,価格は16万7000ドルから。

 またEMC社は同日,ファイル管理ソフトウエア「EMC OnCourse」を発表した。同ソフトウエアを使用することで,地理的に離れた場所に存在するファイルの集中管理や移動処理の自動化が可能になるという。「組織全体やパートナとの情報共有を効率化し,運用コストを削減できる」(同社)

 OnCourseを導入するメリットについて,同社は以下のように説明する。「分散して存在するファイルを管理するのに,これまでは時間がかかり信頼性の低い手作業やスクリプトを使った手法を利用していた。OnCourseでは,ポリシー・ベースの設定によりこうした作業を自動化する。CelerraファミリのNASソリューション,WindowsベースのNAS機器やサーバー,UNIXサーバー,Linuxサーバーとのあいだで,安全にPtoPファイル転送を実行できる」

 「IPネットワークを介して,多くのサーバーから1台のサーバーへ,または逆に1台のサーバーから多くのサーバーへデータを移動したり,ディレクトリやファイルをPtoPで複製したりするのに,OnCourseは最適なツールだ」(同社)

 なおOnCourseには,金融サービス/製造業/小売業など向けのサンプル業務アプリケーションが付属する。

 EMC OnCourseは直ちに利用可能とする。価格は3万3000ドルから。

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[発表資料(Celerra NS600)]
[発表資料(OnCourse)]