米In-Stat/MDRは米国時間12月11日,公共の場所で無線LANに接続できるホットスポット市場に関する調査結果を発表した。それによると,全世界のホットスポットの数は2002年に,2000カ所以下から1万2000カ所以上へと急増した。2003年はキャリアや大手企業の参入が市場の成長を後押しする。

 2003年に,欧州では一部のプロバイダがホットスポット市場で積極的な活動を起こす。アジア太平洋地域のプロバイダも同市場に強い関心を示すようになる。

 また北米では,米AT&T,米IBM,米Intelの3社が無線インターネット接続事業を手がける新会社Cometa Networksの設立を発表しており,ホットスポット市場の追い風になる見通しだ。

 「ホットスポット市場では2002年にソリューションやサービスの進化が進み,関連技術,ホットスポットのプロバイダや導入場所の所有者,エンド・ユーザーが恩恵を受けた。大手ベンダー数社がホットスポット市場に焦点を当てて発表した無線接続機器の価格も,小規模なホットスポット所有者でも手が届く範囲まで下がってきている」と,In-Stat/MDR社アナリストのAmy Cravens氏は説明した。

 さらに,無線ISPに向けた請求書管理とネットワーク監視プラットフォームや,無線WANと無線LANの請求書管理プラットフォームを統合するソリューションなど,新しいバックエンド・ソリューションの登場が市場にさまざまな可能性をもたらしている。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・ホットスポットの数はクリティカル・マスに達しようとしているが,実際に利用しているユーザー数は依然少ない。プロバイダによっては,ホットスポット1カ所に対するユーザーの数はわずか7人である。プロバイダは持続可能なビジネス・モデルの構築に向けて,利用者数の増加,適正な料金設定,一貫した利便性の提供,マーケティング提携などに積極的に取り組む必要がある

・2002年はさまざまな場所でホットスポットの導入が行われた。今後は空港,ホテル,会議場など,特定の場所における導入が進む

・2002年におけるホットスポットの数は,In-Stat/MDR社が2002年初めに予想した数字を上回ったものの,プロバイダの目標数には届かなかった。無線ネットワーク事業者の米Boingo Wirelessは,2002年末までにホットスポットを2000~5000カ所で展開する予定だった。しかし11月時点では,その数が1000カ所にとどまった。また2002年にホットスポット市場の成長をけん引した韓国でさえ,ホットスポットの導入が当初の目標を下回った

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