Liquid Audio社は,同社の現金資産を株主に分配することを決定したと米国時間12月5日,発表した。同社の取締役会が採決を行い,満場一致で決定したという。

 また取締役会は,会社を解散し,残りの資産についても処分する方策を探ることでも意見が一致したという。ただし「(これに関して)取締役会がすべての選択肢の検討を完了するまでは事業を継続する」(同社)としている。これにより株主価値を最大限に守るという。

 現金資産の株主への分配は12月20日に行う。金額は1株当たり2.50ドル。12月10日時点の株主が対象となる。

 Liquid Audio社は,6月に米Alliance Entertainmentとの合併計画を発表,7月にはリストラ策を明らかにし,「Alliance Entertainment社との合併に備え,事業の合理化と経費削減を図る」(社長兼CEOのGerry Kearby氏)と説明していた。

 9月には,デジタル著作権管理(DRM)技術などの知的財産権を米Microsoftに売却,これにより「米Alliance Entertainment社との合併に向けて戦略の転換を図る」(同社)とし,オンライン小売業者向けのデジタル配信技術の販売に注力する意向を示した。

 ところが,同社の株主には会社清算を要求するグループが存在した。このグループはその後,代表者2人を同社の取締役会に送り込むことに成功,そして11月11日,同社は,Alliance Entertainment社と進めてきた合併計画の白紙撤回を発表した。この時点で同社は「合併計画の失敗が会社の終わりを意味するわけではない。我々はいざという時のための秘策を用意している」(同氏)などとコメントしていた。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]