携帯電話機向けOSを手がける英Symbianが英国時間12月2日に,英ARMの「ARMv6」命令セット・アーキテクチャをネイティブ・サポートすることで,両社が提携関係に入ったことを明らかにした。
「今後リリースするSymbian OSをARMv6アーキテクチャに対応させるために,1年以上にわたって協力した。その結果,非常に効率的な対応OSソリューションを開発した」(両社)
具体的には,ARMv6アーキテクチャを実装したCPUコア「ARM1136J-S」で,物理アドレス指定したキャッシュを利用して,Symbian OSのスイッチ・タイムを短縮する。これにより,強制的なキャッシュ・フラッシングを削減することで,メモリー管理性能と省電力性を向上する。
Symbian社Partnering, Evangelism & Research部門担当執行副社長のDavid Wood氏は,「ARMv6アーキテクチャを基盤としたSymbian OSソリューションは,モバイル機器に不可欠な,消費電力の削減とメモリー性能の向上を可能にする。また,無線マルチメディア機能を強化できるため,当社のライセンス取得企業の需要に応えることができる」と説明した。
ARM社は,ARMv6アーキテクチャ・ベースの最初の製品となるARM1136J-Sと「ARM1136JF-S」を10月に発表したばかりである。これらのコアは,同時発表した「ARM11 PrimeXsys」プラットフォームに対応している。
「ARM11 PrimeXsysプラットフォームとSymbian OSによって,携帯電話機ユーザーに豊富なマルチメディアを提供できるようになる。Symbian OSでは,ARMv6アーキテクチャの新しいSIMD(Single Instruction Multiple Data)メディア処理拡張をフルに活用できるため,アプリケーション開発者は無駄な消費電力を増やすことなしに,より魅力的なコンテンツを作成できる」(ARM社Operating Systems Business Development部門担当ディレクタのMary Inglis氏)
ARM1136J-SとARM1136JF-Sを利用したSymbian OS製品は,2004年にリリースする計画である。
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