「現在バイオメトリクス(生体認証)向け指紋センサーは,従来型の光学センサーが優勢だが,技術の進歩と価格低下の影響で半導体ベースの指紋センサーが勢力を伸ばす」。米Frost & Sullivanが米国時間11月26日に,半導体指紋センサー市場に関する調査結果を発表した。2001年は510万ドル規模に過ぎなかった市場が,2006年まで3ケタの成長率で拡大し,4億2460万ドル規模に達するとしている。

 「この分野における技術改良が,センサーの性能向上と小型化をもたらした。さらに,価格低下と応用範囲拡大にも貢献している」(Frost & Sullivan社アナリストのPrianka Chopra氏)

 ハンドヘルド機器やノート・パソコン用としては,(指をずらして読み取らせる)スイープ型センサーと読み取り範囲の極めて狭いセンサーが利用されている。「ノート・パソコン,キーボード,携帯電話機,PDAでの利用が進むことで,さまざまなビジネス機会が生まれるだろう。また,アクセス制御,存在証明,金融や医療分野での利用が見込まれる」(同社)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・応用分野が多岐にわたることで,売上高が大幅に増加する。携帯電話機,PDA,ノート・パソコン市場の大幅な拡大が,半導体指紋センサーの膨大な需要を創出する。

・OEM市場が半導体指紋センサーの売上高で最も大きな割合を占める。バイオメトリクス企業による需要も相当な規模になる。

・小型化を中心とする技術開発が,価格低下を引き起こす。さらに,売上増加による生産量増加がスケール・メリットを生み,企業間の競争と相まって価格を下げる。

・時間はかかるが,指紋によるバイオメトリクスがノート・パソコンの標準的な機能になるだろう。

・主要OEMのあいだでは,すでに提携や協力関係構築といった動きが起っている。

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