米Yankee Groupが米国時間11月27日に,公衆無線LAN市場の展望に関する調査結果を発表した。それによると,北米の公衆無線LAN市場は,2007年までに年間16億3000万ドルのサービス収入を創出するようになる。また,公衆無線LANユーザーも460万人に増え,そのうち86%を企業ユーザーが占めるとみる。

 公衆無線LANに対する関心が高まっており,Wi-Fi技術を基盤とした公衆無線LANソリューションは,無線キャリアにビジネス・チャンスをもたらす見通しだ。無線WAN(第2.5/3世代)とWi-Fi(IEEE 802.11b)の統合によって,サービスの拡充,新たな収益源の確保,企業ユーザーとの関係構築などが可能になるためである。

 「サービス・プロバイダの大多数は,公衆無線LANだけでビジネスを成り立たせることはできない。一方無線キャリアは,ホットスポット・アクセスと,WAN/無線LANを統合したサービスの両方を顧客に提供できるので,有利である。さらに,既存のコア・ネットワーク,請求システム,顧客データベース,ネットワーク管理システムなどを活用して,公衆無線LANの導入コストを抑えることが可能だ」(IDC,Wireless/Mobile Services部門担当ディレクタの Roberta Wiggins氏)

 以上のような理由から,無線キャリアが 公衆無線LAN市場に参入する価値は十分にあるとみる。しかし,キャリアの総売上高に対して公衆無線LANが創出する収入の割合は比較的小さい。「無線LANは高速で信頼性に優れたソリューションだが,3Gから公衆無線LANへと移行するトラフィック量は,長期的にみてわずかな範囲にとどまる」(Yankee Group社)

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