インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)大手の米Genuityが米連邦破産法11条(日本の会社更生法に相当)の適用を申請した。米Verizon Communicationsが米国時間11月27日に明らかにしたもの。

 なお,申請に先がけて,米Level 3 CommunicationsがGenuity社の資産買収についてGenuity社と最終合意に達したことを発表している。

 Level 3社は,最大2億4200万ドルを現金で支払い,Genuity社のほぼすべての資産と事業を取得する。Verizon社との契約も買収対象の事業に含まれる。手続きの完了は2003年第1四半期を予定しているが,破産裁判所と規制行政機関の承認を得る必要がある。

 Verizon社副会長兼社長のLawrence T. Babbio Jr.氏は,「Genuity社の主要債権者および顧客の1社として,我が社はこの取り引きを全力でサポートする。Verizon社とGenuity社,そしてGenuity社の債権者のためになる方法で数々の複雑な問題を解決できることに満足している」と述べた。

 なお,Genuity社の取引銀行1社を除くすべての顧客と銀行団がLevel 3社によるGenuity社買収の同意書に署名をしたという。Verizon社は,買収手続きが完了した場合に,Level 3社からダイヤルアップ,IP,転送サービスなどを購入する契約を締結済みである。

 Genuity社はおよそ次のような経緯をたどっている。同社は米GTEの100%子会社だった。米Bell AtlanticとGTE社が合併しVerizon社を設立する際にGTE社は,FCC(連邦通信委員会)の承認を得るための条件として,Genuity社の株式の90.5%を売却した。このときGTE社は,「将来Genuity社株を買い戻し,Genuity社の経営権を握れる」という権利を取得していた。しかしVerizon社は,「Genuity社をVerizon社に再統合する意向はない」ことを2002年7月24日に発表し,この権利を放棄した。その結果,Genuity社は債務不履行に陥っていた。

◎関連記事
ついにあの“インターネットの名門”までも――米ISP御三家,最後の1社も窮地に
米ベライゾンが米ジェニュイティ再統合の権利を放棄,ジェニュイティは債務不履行に
米クエスト,光通信回線容量取り引きで総額約11億6000万ドルの水増し計上を認める
米ワールドコムが米破産法11条の適用申請
米ワールドコムが再建への第一歩を踏み出す,7億5000万ドルの融資を裁判所が承認
ユーザーが下すインターネット・サービス・プロバイダの評価は低い
「整理統合が進む企業向けISP,上位10社が米国売上高の65%占める」と米In-Stat
【US NEWSの裏を読む】ついにアップルも! 避けられないネット・サービスの有料化

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]