光ストレージ装置の業界団体OSTA(The Optical Storage Technology Association)が米国時間11月21日に,CD/DVDディスクの再生時の操作性を向上させる仕様「MultiPhoto/Video(MPV)1.0」を公開した。パソコンで作ったCD/DVDディスク上にある写真,ビデオ,音楽を家庭用CD/DVDプレーヤなどでアクセス/再生する際に,ユーザーの使い勝手を向上できるという。

 「MPVでは写真やビデオを保存する際に,高解像度のオリジナル・データと低解像度のサムネール用データを組み合わせておく。これら両方のデータにアクセスすることで,家庭用CD/DVDプレーヤでの表示を高速化できる。その結果,思い出のシーンを仲間や家族と見たり印刷したりといったことが,簡単に行えるようになる」(米Hewlett-Packardデジタル・イメージング部門担当上級副社長のMary Peery氏)

 OSTAは,「パソコンで作成したCDやDVDをDVDプレーヤ,カー・オーディオなどの家電機器で再生すると,表示が遅く,操作性の悪い」という問題を指摘する。MPVでは,ディスク上にある写真,音楽,ビデオ,音声/パノラマ映像/テキスト付き写真などのコンテンツについて“目次”を作成することで,問題解決を図るという。

 さらにMPVには,コンテンツを再生するユーザー自身がアルバムを作成し,自由な順番で再生するための再生リストを作る機能がある。

 「MPVは,再生機器によって認識可能なXMLメタデータ・ファイルをコンテンツに追加するので,ファイル・システムやOSの上位層で機能する」(OSTA)

 対応する主なファイル形式は,JPEG,MP3,Windows Media Audio,Windows Media Video,MPEG 1/2/4のほか,一般的なデジタル・カメラ用フォーマットのAVI,QuickTime MJPEGビデオ。またCD,DVD,メモリー・カード,ハード・ディスク装置,インターネットなどのメディアとの互換性を備える。

 MPV 1.0の仕様書は,OSTAのWWWサイトで同日より入手可能。ロイヤルティ・フリーで利用できる。家電機器やソフトウエア・アプリケーション用のMPVリーダー/ライター,Microsoft Windowsベースのプレーヤ・アプレット,サンプル・データなどを含むソフトウエア開発者向けSDKも,同日より提供開始する。互換性試験スイートとロゴ・プログラムは,2002年末までに利用可能とする。

 なおMPVの開発に協力した主な企業は以下の通り。米Alera Technologies,米ACD Systems International,米ArcSoft,米Eastman Kodak,米ESS Technology,Hewlett-Packard社,米Imation,米LSI Logic,米MUSICMATCH,米Oak Technology,オランダRoyal Philips Electronics,米Pixel Magic Imaging,米Planetweb,米Plasmon,米Rimage,米Roxio,韓国Samsung Electronics,米Sonic Solutions,台湾Ulead Systems,三菱化学メディアの米子会社Verbatim,米Zoran。

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