米IBMは米国時間11月22日に,同社の「オンデマンド・コンピューティング」構想に基づく第1弾の中規模企業向けe-businessソフトウエアについて明らかにした。会計,人事,CRMに関するソフトウエアをインターネット経由で提供し,使用した分に応じて料金を徴収する方式をとる。

 オンデマンド・コンピューティングは,IBM社が掲げる将来のコンピュータ環境のカギとなるコンセプト。将来,「パワフルで自己修復機能を備えたコンピュータからなる巨大なネットワークを基盤とする環境で,グリッド・コンピューティングなどの技術進歩により,企業はコンピューティング・パワーをオンデマンドで購入できるようになる」とIBM社は説明する。

 オンデマンドで提供するe-businessソフトウエアのホスティングは,IBM社のサービス部門IBM Global Servicesが担当する。例えば会計機能を利用する場合,月額利用料は1ユーザ当たり50ドル程度。毎月または四半期ごとにソフトウエア・プロバイダから請求書が送られる。

 「オンデマンドのe-businessソフトウエアは,中規模企業においていっそう効果を発揮するだろう。中規模企業が技術のめまぐるしい変化についていくスキルを維持するのは困難だ。そのうえ,技術投資を即座に回収しなければならない。オンデマンドのe-businessソフトウエアは,こうした重要な課題を解決する」(IBM社Global Small and Medium Business部門ジェネラル・マネージャのMarc Lautenbach氏)

 中規模企業とは,一般的に従業員100人~1000人の会社を指す。IT市場では最も急速に伸びている分野の一つである。米AMI Partnersの調査によると,中規模企業による今後3年間のIT支出は1500億ドルを超えるという。

 またIBM社は,オンデマンドのe-businessソフトウエアを提供する提携ソフトウエア・ベンダーを明らかにした。人材管理アプリケーションの米HRsmart,総勘定元帳や売り掛けなどの会計システムを手がける米Intacct,中規模企業向けマーケティングおよびSFA(営業支援システム)の米Onyx,中小企業向け人事ソリューションの米Employeaseである。HRsmart社,Intacct社,Onyx社のアプリケーションは,IBM社の米国のデータ・センターを通じて直ちに利用可能になる。Employease社のアプリケーションは2003年第1四半期に米国で提供を開始する。

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