米GartnerのGartner Consultingが米国時間11月21日に,企業がアイデンティティとアクセス管理(IAM:Identity and Access Management)ソリューションを実装することにより,大規模な節約と高い投資回収率(ROI)を望めるとする調査結果を発表した。

 「『IAM』は,ビジネス・プロセスの管理であると同様に技術インフラの管理でもある。また,情報セキュリティ部門において労働力削減と生産性の向上により投資回収が達成できる数少ない分野のひとつである」(同社のリサーチ・ディレクタのRoberta Witty氏)。

 IAMは,ユーザー・アカウントとアクセス権限のプロビジョニングの自動化とEAM(Extranet Access Management),エンド・ユーザーのセルフ・サービス・パスワード再設定ソリューションとして定義される

 調査によれば,従業員1万名規模の企業がユーザー・プロビジョニング・ソリューションを実装した場合,3年間で300%の投資回収率と350万ドルの節約の実現が可能になるという。ユーザー・プロビジョニングは,ビジネスと技術ソリューションを統合したもので,アカウント,アクセス権,アクセス要求の許可プロセスを含め,企業システム,Webアプリケーション,非Web系のアプリケーションへのユーザー・アクセスを管理するソリューション。

 「自動化されたプロビジョニングにより,労働力削減と生産性の向上によって経費節減が実現される。人件費で換算してセキュリティ管理が年間1万4000時間分,ヘルプ・デスクが年間6000時間分削減できる」(同氏)。

 また調査により,EAMの実装で高い投資回収率を実現することも明らかになった。5万人の外部ユーザーをサポートする企業は,3年間で375%の投資回収が達成できるという。EAMは,認証,許可,シングル・サインオンといったWebアプリケーションへのユーザー・アクセスを管理するために企業が使用する技術。

 「EAMの実装は,コスト削減がもっとも大きな要素となっているが,ユーザー・エクスペリエンス,サービス・レベル,セキュリティのリスク管理の向上も促している」(同氏)。

 5万人の外部ユーザー向けにEAMソリューションを実装している企業は,セキュリティ管理で年間2万4000時間,ヘルプ・デスクで1万7800時間分の労働経費が削減できるという。

 また,EAMとユーザー・プロビジョニングの実装で,ユーザー数とアプリケーション数が多い企業は,少ない企業と比べてより高い投資回収率と経費削減が可能になることも明らかになった。

 同調査は,同年6月~10月にErnst & Young LLP,Microsoft,Protivitiがスポンサーとなって実施された。

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