米IBMは同社の研究開発事業IBM Researchに新たなサービス部門「On Demand Innovation Services」を設置したことを米国時間11月20日に発表した。企業向け技術コンサルティングに精通した研究者チームが顧客を支援する。

 On Demand Innovation ServicesはIBM Researchのコンサルタント200人で構成する。IBM社のBusiness Consulting Services部門と連携し,IBM Researchが開発した技術,ツール,ノウハウを直接顧客に提供する。IBM社は今後3年間で同部門に10億ドルを投資する計画である。

 ちなみにIBM社は,同社のコンセプト「オンデマンド・コンピューティング」の推進に100億ドルを投資する計画を,10月30日に明らかにしている。

 「“オンデマンド・ビジネス”という新しい時代において,企業は市場の変化に動的に対応することで独自性を打ち出すようになる。このためには,ビジネス・モデルと技術の変革が必要だ。わが社のコンサルティング能力とIBM Researchの知識を組み合わせ,顧客のオンデマンド・ビジネスへの転身を支援する」(IBM社社長兼CEOのSamuel J. Palmisano氏)

 On Demand Innovation Servicesは現在,情報検索向けの高度インフラ・プラットフォームに関して試験サービスを進めているという。企業がさまざまな形態のデータからトレンド,パターン,関連性を抽出できるようにする。10億におよぶWebページやドキュメントを対象にした詳細なデータ解析と統合が可能なインフラを目指す。

 On Demand Innovation Servicesが初期段階で注力する主な内容は以下の通り。

・高度解析:応用数学やコンピュータ科学のアプリケーションを用いる。組み合わせ最適化,計算量,制御理論,整数計画,線型代数といった各種の科学的手法を利用する。

・ビジネス・プロセス変換:効率性と利益性を向上し,さまざまな事業関係を強化するビジネス・プロセスを構築する。事業予測,インフラ強化,技術革新などを組み合わせる。

・情報統合:従来のアプリケーション・ソースをはじめ,XML,テキスト書類,スキャン画像,ビデオ・クリップ,Webコンテンツや電子メールなど,社内全体にわたるさまざまな形態のデータを活用する。

・実験経済学:各種ビジネス・モデルを評価する実験手法に取り組む。

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