米AMDが,これまで「Clawhammer」(開発コード名)と呼んでいた同社のデスクトップ/ノート・パソコン用次世代64ビット・プロセサを「AMD Athlon 64」と名付けた。AMD社が米国時間11月19日に,COMDEXで明らかにしたもの。

 AMD Athlon 64はx86命令に対応するパソコン用プロセサ。「この種のプロセサとしては,業界初であると同時に唯一の64ビット・プロセサになる。同プロセサを搭載するパソコンでは,64ビット・アプリケーションの性能を完全に生かせる上,速度低下を起こさず32ビット・アプリケーションを実行できる」(AMD社)

 AMD社では,「当社のソリューションには投資を無駄にしないというメリットもある」と説明する。現在の32ビット・アプリケーションに対応しているシステムを変更せず,将来の64ビット・アプリケーションを動かせるからだという。「AMD Athlon 64プロセサ・ベースのシステムを購入することは,将来利用可能なパソコンを買うことになる」(同社)

 AMD社コンピュテーション製品グループ顧客ビジネス部門担当副社長のEd Ellett氏は,「一般パソコン・ユーザーもアプリケーション開発者も,何もない状態から(システム構築を)始めたくないものだ」と説明する。「現在の資産を守るために,下位互換性を求めている。これからリリースするAMD Athlon 64は既存の各種標準をベースとしているので,資産保護を可能とし,総所有コスト(TCO)および開発コストを削減できる」(同氏)

 同プロセサは,LSI間のポイント・ツー・ポイント接続に向けた拡張性のあるバス技術「HyperTransport」を採用し,「ほかの技術に比べ1.5倍以上高速なスループットを提供できる設計」(同社)。また,内蔵メモリー・コントローラではプロセサとメモリーを直接接続し,メモリー・アクセスの遅延を大幅に削減することで,性能を向上するという。

 AMD Athlon 64プロセサを搭載するシステムは,2003年第1四半期終わりから第2四半期始めにかけて利用可能とする計画である。

 また,エンタプライズ・クラスのサーバー/ワークステーション用64ビット・プロセサ「AMD Opteron」ベースのシステムについては,複数のサーバーおよびワークステーション・メーカーが2003年前半に発売する予定。

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