「成人インターネット・ユーザーの4分の3が,残高照会,振替えや振り込み,請求書の支払いといった財務処理をオンラインで行っている」──。市場調査会社の米Dieringer Research Group (DRG)が米国時間11月19日に,オンライン・バンキングの利用状況に関して調査した結果を発表した。

 今年で8回目を迎えるこの調査は,米国における成人インターネット・ユーザー3000人を対象に実施したもの。

 DRG社上級コンサルタントのThomas E. Miller氏は,「インターネットで行われる財務活動では,個人バンキングの人気が最も高い。また,請求書の支払い処理を行うユーザーが,最も急速に増えている」と説明した。

 オンライン・バンキング利用者の年収をみると,徐々に広範囲のユーザーに普及していることが分かる。年収の中央値は,2000年の6万2500ドルから,2002年の5万1500ドルへと,約18%減少した。

 オンライン・バンキング利用者をその他の成人ネット・ユーザーと比べた場合,クレジット・カードやローンに関する情報収集と申込みをインターネット経由で行う傾向が格段に高い。新しい口座に関する情報収集をオンラインで行ったユーザーの3分の1以上が,その後オフラインで実際に口座を開設している。つまり,金融機関にとってオンライン・バンキング利用者は,その他の金融商品を販売できる貴重な潜在的顧客になる。

 オンライン消費者の約18%が「銀行に自分の電子メール・アドレスを知らせている」と回答しているにも関わらず,銀行からメールを受け取ったことがある回答者は,そのうちわずか半数だった。また,受け取りたいメールの内容としては,「利用限度額に達しつつあるとき」など,口座に関する“重要なお知らせ”が挙げられた。しかし,このようなメール・サービスを提供する銀行は,無いに等しいのが現状である。

■ 米国成人ネット・ユーザーにおけるオンライン・バンキングの利用状況(単位:100万人)

                               2000年      2001年     2002年
    残高照会や振替/振込       19.4        29.0        37.5
    年平均増加率                92%         49%         29%
    請求書の支払い              8.2        12.5        19.5
    年平均増加率               110%         52%         56%

記:オンライン・バンキングとは,オンラインで行う残高照会,振替/振込,請求書
の支払いといった処理のいずれか,もしくはその組合せを指す。

出典:DRG社

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