企業向けLinuxディストリビューションの統一を目指す団体UnitedLinuxが米国時間11月19日に,「UnitedLinux Version 1.0」を発表した。

 UnitedLinuxは,米SCO Group(旧社名:Caldera International),ブラジルのConectiva S.A.,ドイツのSuSE Linux AG,米Turbolinuxが企業におけるLinux普及を目指して結成した共同事業。4社はUnitedLinux Version 1.0に自社の製品やサービスを付加し,各社のブランド名でマーケティングと販売を行う。

 UnitedLinuxは米IBMの「eServer」サーバー・ファミリをはじめ,米AMDの32ビットおよび64ビットのAMD AthlonやAMD Opteronプロセサ,米Intelのx86 32ビット・プロセサやItaniumプロセサを搭載したシステムでの利用を視野に入れる。

 UnitedLinux Version 1.0はまず,英語,日本語,簡体字中国語,韓国語,ポルトガル語,スペイン語,イタリア語,ドイツ語,フランス語,ハンガリー語に対応する。1万6000社以上のリセラーのほか,グローバル・サポート・チームが各地で顧客サポートを提供する。世界規模のトレーニングや認定プログラムを近いうちに発表する予定である。

 UnitedLinux Version 1.0の主な特徴は以下の通り。

・Linux標準化団体Free Standardsによる標準規格LSB 1.2やOpenI18Nをサポート
・サーバー・ファームを構築するためのソフトウエアおよびツールを完備
・SMP上のプロセス・スケジュール機能を強化
・非同期入出力機能
・POSIX準拠のイベント・ログ機能
・プロファイルやデバッグを効率化する動的プローブ
・ホットプラグPCIをサポート
・認証技術Kerberos」や基本的なファイアウオールに対応
・Journaling File System(JFS)をはじめ,Reiser File System(ReiserFS),XFS,ext3 filesystemなどに対応
・IPv6,Logical Volume Manager(LVM),Enterprise Volume Management System(EVMS)をサポート。デバイス・ドライバでEthernet,Fibre Channel,Token Ring,ODBC,Tape,SCSIなどに対応する

 また,SuSE社がUnitedLinux 1.0をベースにした企業向けLinuxサーバーの新版「SuSE Enterprise Server 8」を同日発表した。x86システム対応版,「S/390」システムおよび「zSeries」「iSeries」「pSeries」対応版,「Itanium 2」搭載システム対応版は2002年12月に利用可能になる。AMD社の64ビット・アーキテクチャに対応したSuSE Enterprise Server 8は2003年初頭にリリースする。価格はSuSE Enterprise Server 8 for x86の場合,CD4枚,マニュアル,保守プログラムが付属して749ドル。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]