米MicrosoftのXMLアーキテクトであるJean Paoli氏は,まもなく開催される展示会で,Microsoft Officeの次期版「Office 11」(開発コード名)におけるXMLのビジョンについて講演する。Microsoft社が米国時間11月14日に明らかにしたもの。

 同氏は,W3C(World Wide Web Consortium)でXML 1.0標準の作成作業に携わった人物である。講演は,メリーランド州ボルチモアで2002年12月に開催されるXML関連の展示会IDEAlliance XML Conference & Exposition 2002で行う予定。

 この講演の題名は“Bringing the XML vision to the desktop with 'Office 11,'(「Office 11」とともにXMLのビジョンをデスクトップにもたらす)”。このなかで,同氏はMicrosoft社のXMLに対する取り組みやOffice 11の技術的なアーキテクチャ概要について説明する。

 講演の中心テーマは,以下の4項目となる。

(1)XMLの根本的なビジョンと,ユーザーが自分の文書に独自定義したスキーマを適用できることの重要性

(2)XMLのビジョンをデスクトップにもたらすために,Microsoft社がOffice 11に対して行った大規模な取り組み

(3)Microsoft Word,同Excel,同XDocs,同FrontPage,同Accessで独自定義スキーマを使った文書を利用可能とするために適用した技術アーキテクチャ

(4)顧客自身のスキーマによって定義されたデータを利用可能とし,XML対応Webサービスとの統合を容易にするために,Officeファミリのアプリケーションに生じた変化

 Microsoft社は,「当社の顧客は,重要な業務上の情報を後から再利用する必要性を感じている」と説明する。「再利用は,別の文書やビジネス・プロセスで行われるため,サーバー,アプリケーション,プラットフォームに依存してはならない。こうしたことから当社はOfficeアプリケーションの中核部分にXML対応機能を導入した。データを,表示やアプリケーション間共有の手段から切り離し,独立した状態で処理できるようにした」(同社)

 またOffice 11には,文書をXML形式で保存する以上の機能が備わるという。「(Office 11は)顧客自身の定義によるXML Schema Definition(XSD)に対応した初めてのプロダクティビティ・スイート製品。つまり,業務ニーズに最も適した形でデータを構造化できる。そして,XMLベースのWebサービスと相互運用可能なカスタム化したOfficeソリューションの構築が可能となる」(同社)

 Office 11に含まれる各アプリケーションの内容は以下の通り。

・Word:XML形式での文書保存が可能となり,顧客自ら定義したスキーマを使ったテンプレートの作成にも対応する。

・Excel:独自定義のXMLスキーマ内にあるデータを,変換することなくExcelに読み込むことが可能となる。

・Access:XSD構造を定義することで,データベース内のテーブルを表示して,どのようにデータをエクスポートするか選択できる。

・Visio:独自定義のスキーマを使い,データをVisioのXML文書として管理できる。

・XDocs:Office製品ファミリの新しいアプリケーション。顧客自身の定義したXMLスキーマを使い,業務文書内から重要なデータを収集可能とする。

・FrontPage:FrontPageのエディタで直接Extensible Stylesheet Language Transformation(XSLT)を操作し,XML文書がWebブラウザ上でどのように表示されるかを定義できる。

 Office 11の詳細については,Microsoft社のWebサイトに掲載している。

 なおJean Paoli氏の講演は,12月11日東部標準時午後4時45分(太平洋沿岸標準時午後1時45分)に行う予定。会場はバルティモア・コンベンション・センター。

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