米IBMは,ソフトウエア開発者を支援するプログラム「Application Enablement Program」を米国時間11月14日,発表した。IBM社Global Services部門がソフトウエア開発者のアプリケーションをデータ・センターでホスティングし,IBM社のソフトウエア・パートナがそのアプリケーションをオンデマンドで顧客に提供する。各種のライセンス・モデルを用いる。

 Application Enablement Programでは,独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)に技術スキルやノウハウを提供し,開発したアプリケーションをIBM社ホスティング・センターでの管理に適応させる。IBM社の技術チームがアプリケーションのテストや実装でベンダーに協力する。手順が完了すると,ベンダーのアプリケーションはサービスとして,ネットワークを介して配信できるようになる。

 配信可能になったアプリケーションについては,IBM社のホスティング・モデルの制限を受けずにカスタマイズおよび統合することができる。カスタマイズと統合は,ベンダーまたはIBM社のBusiness Consulting Services部門が担当する。

 米Adexa,米Entrust,米MRO Software,米Portal Softwareなどが,顧客向けのアプリケーション配信で,同プログラムに協力する。MRO Software社は1万社を超える企業に資産管理ソフトウエアを提供している。MRO Software社コンサルティング・パートナ部門バイス・プレジデントのDavid Rothberg氏は,「同プログラムに参加することにより,IBM社との関係を強化するだけでなく,顧客基盤を拡大し,より多くの選択肢を顧客に提供できる」と述べた。

 「ISVはオンデマンド・コンピューティングにおいて重要な役割を果たすだろう。IBM社は,ソフトウエア・パートナが顧客の事業をサポートするための新たな手法を見いだせるよう注力する。そのために,開発者が自身のソフトウエアを,サービスとして提供する環境に対応させることを支援する」(IBM社Developer Relations部門ジェネラル・マネージャのBob Timpson氏)

 オンデマンド・コンピューティングは,IBM社が掲げる将来のコンピュータ環境のカギとなるコンセプト。将来,「パワフルで自己修復機能を備えたコンピュータからなる巨大なネットワークを基盤とする環境で,グリッド・コンピューティングなどの技術進歩により,企業はコンピューティング・パワーをオンデマンドで購入できるようになる」とIBM社は説明する。

 ちなみに米IDCによると,サービスとして提供するソフトウエアの世界市場は,2006年には165億ドル規模に達するという。

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