米Liquid Audioと米Alliance Entertainmentは,これまで両者間で進めてきた合併計画が白紙撤回となったことを米国時間11月11日,明らかにした。「両社の経営陣は今も(両社合併による)戦略的意義を認識しているものの,Liquid Audio社側で合併に賛同しない株主が著しく多かった」と説明する。「計画を断念するのが最善の策と判断した」(両社)。

 Liquid Audio社を巡っては,業績悪化による経営難が伝えられていた。同社は6月に,Alliance Entertainment社との合併計画を発表,7月にはリストラ策を明らかにし,「Alliance Entertainment社との合併に備え,事業の合理化と経費削減を図る」(社長兼CEOのGerry Kearby氏)と説明していた。

 さらに9月,同社は知的財産権の米Microsoftへの売却を発表した。デジタル音楽コンテンツの配信技術,デジタル著作権管理(DRM)技術,携帯機器へのコンテンツ転送技術といった特許をMicrosoft社に売却することで,「米Alliance Entertainment社との合併に向けて戦略の転換を図る」(同氏)とし,オンライン小売業者向けのデジタル配信技術の販売に注力する意向を示していた。

 ところが,同社の株主には「業績の回復は見込めない」とするグループが存在し,会社清算を要求していた。米メディアが伝えるところによると,9月にこのグループのうち2人が,同社の取締役会に選出されている。この時点でLiquid Audio社は「(会社清算支持グループの取締役会への参加は)合併計画になんら影響を与えない」などと発表していたという。

 なお,米メディアによると,Liquid Audio社の報道担当者であるKim Strop氏は今回の計画中断について次のようなコメントを出したという。「合併計画の失敗が会社の終わりを意味するわけではない。我々はいざという時のための秘策を用意している。数日後にも今後の計画を発表するつもり」(同氏)

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