「使い勝手の悪いイントラネットの設計により,1万人の従業員を抱える規模の企業は,生産性の損失で年間およそ1500万ドルを失っている」。米Nielsen Norman Groupは米国時間11月7日に,企業のイントラネットの使い勝手に関して調査した結果を発表した。

 同社は,非常に使い勝手の良いイントラネットと悪いイントラネットで同一のタスクを完了するのにかかる時間を算出した。良いイントラネットでは1年に27時間,悪いイントラネットで196時間かかるという結果が出た。平均的な年俸4万ドルとして間接経費を合わせて計算すると,このタスクを遂行するための従業員ごとの経費は827ドルと6018ドルになる。

 「企業が生産性のコストの差を理解すれば,イントラネットの使い勝手に関するビジネス投資は,すぐに『使いやすかったら良い』から『使い易くなければならない』に変わるだろう」(同社)

 同調査はAmerican Airlines,Cathay Pacificなど米国,英国,香港の11社の従業員と企業イントラネットに対して実施された。調査は,これらの企業の従業員に対して同僚に関する情報の検索,休暇のポリシーなど特定の従業員福利厚生に関する情報の検索など16の一般的なタスク実行を依頼して行った。

 明らかになった主な調査結果は次の通り。
・検索
劣った検索機能は,単独で使い勝手を低下させる大きな要因となる。最も優れたイントラネットと最も劣ったイントラネット間で従業員の生産性におよそ43%の差が生じる。

・PDF
ユーザーはPDFファイルに関して大きな問題を経験している。たとえば,従業員ハンドブックなどがナビゲーションできるWebページに変換されることなくアップされている点が問題となっている。

・ナビゲーション
一貫性を持つナビゲーションの欠如は大きな問題となっている。部署によってページ・デザインが異なって一貫性がないため,ユーザーは使いにくいと感じる。しばしば表面化するインターネットの問題として,ユーザーが訪問したリンク先が色分けされないため,堂々巡りになってしまうことが挙げられている。

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