米Allied Business Intelligence(ABI)が米国時間11月7日に,バイオメトリクス業界に関する調査結果を発表した。同市場は,米国政府の新しいセキュリティ・プログラムにけん引されて,2002年までに大幅に成長するという。また,世界の各業界における,より高いレベルのセキュリティの必要性の認識も強調されている。

 しかしこれらの要素は,2001年と2002年の段階でバイオメトリクス業界の収益増加にあまり影響を与えていない。同社によれば,バイオメトリクス機器による収益は,多くの業界がセキュリティのメリットだけでなく,コスト面における効率性も考慮して,同機器を導入するようになって初めて強力な増加が望めるとしている。

 「数多くの業界が,設備投資を上回る利益を得られるために,バイオメトリクス技術の配備を進めるようになる。さらに,バイオメトリクス・ベンダーは,2003年の第3四半期までに効果的かつスケーラブルなシステムを提供するのに必要なサポート・システムを確立すると予想される。北米,欧州,アジアのすべての主要空港に,犯罪者の監視向けの顔認証,フリークエント・トラベラのチェックイン向け虹彩認証,安全な物理的アクセス向けの指紋認証を含む複数のバイオメトリクス技術が実装されるようになる」(同社)。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・2002年のバイオメトリクス関連の収益は,政府,ヘルスケア,金融,航空会社の部門が40%を占める
・2003年には,同業界が1億5300万ドルの総収益を生成する
・米Identix社の合併に続いて同業界の合併,買収,淘汰が進む

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