米IBMの社長兼CEOのSam Palmisano氏は主要顧客企業幹部を集めた経営説明会で,今後同社が顧客企業のコンピュータ環境を支援する事業に対し,100億ドルを投資する計画であることを米国時間10月30日,発表した。

 会場で同氏は,将来のコンピュータ環境のビジョンについて説明した。その鍵となるコンセプトは「オンデマンド・コンピューティング」という。

 その基盤となるのは「パワフルで自己修復機能を備えたコンピュータからなる巨大なネットワーク」と同氏は説明する。「こうしたネットワークやグリッド・コンピューティングなどの技術進歩により,将来,企業はコンピューティング・パワーをオンデマンドで購入できるようになる」(同氏)。それはちょうど我々が電力を買うようなものだという。

 このビジョンを推進するため,IBM社はオンデマンド事業部門を設置する。100億ドルという資金は研究開発,各種の取り組み,企業・技術買収などに充てる。

 同社が計画している最初の取り組みは,米国や日本をはじめとする世界の各地に「On-Demand Design Center」を設置すること。これは顧客企業が最新の技術に触れることができる拠点となる。顧客が新たなコンセプトや製品の検証をここで行えるようになる。また同社のコンサルティング・サービスでは,顧客能力/ニーズの評価サービスも提供していく。

 なお米メディアによると,同社はこのオンデマンドのコンセプトを一般に広めるため,大規模な広告キャンペーンを展開していくという。オンデマンド事業部門の担当幹部は11月の第1週にも任命する予定である。

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