米AOL Time Warnerは米国時間10月23日,2000年第3四半期~2002年第2四半期の決算に関する修正を明らかにした。AOL Time Warner社は同社傘下のAmerica Online(AOL)の会計処理について,「サード・パーティから受け取った報酬を“不適当に”広告・販売収入として計上していた可能性」を発表していたが,内部調査の結果,同期間の売上高を1億9000万ドル,EBITDAを9700万ドル引き下げる。

 売上高の修正額のうち,1億6800万ドルはAOL社から発生した。2200万ドルはAOL Time Warner社の他の部門で手がけたAOL社関連の広告に関する収入修正である。AOL Time Warner社CEOのDick Parsons氏は,「同期間におけるAOL社の総売上高からみれば小さい数字(約1%)だが,我が社はこれを非常に深刻に受けとめている」と述べた。なお,修正が最も大きかった期間は2000年第3四半期で,売上高は6600万ドルの減額,EBITDAは3000万ドルの減額となる。

 また,同社は2002年第3四半期の決算を同日発表した。売上高は100億ドルで前年同期比6%増加。継続事業による純損失は5500万ドル(1株当たり損失は1セント)。前年同期の継続事業による純損失は9億8700万ドル(同22セント)だった。

 EBITDA(利子,税金,減価償却費控除前利益)は22億ドルで,前年同期から1%減少。EBITDA率は22%で,前年同期の23%から1ポイント減少した。

 会員による収入は前年同期比13%増の48億ドル。AOL事業,ケーブルおよびネットワーク事業の会員数が伸びているためである。コンテンツなどの収入は同8%増の35億ドルで,映画「The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring」の家庭用ビデオや「Austin Powers in Goldmember」の興行成績が好調だった。広告やコマースなどの収入は同12%減の17億ドル。オンライン広告市場の低迷と,「Warner Bros. Studio Stores」の閉鎖などが影響した。

 事業別でみた場合,AOL事業の売上高は前年同期比7%減,EBITDAは同30%減少。AOLサービス会員による収入は同15%増加したが,広告およびコマース(同48%減)とコンテンツやその他(同63%減)に相殺された。

 ケーブル事業の売上高は前年同期比14%増,EBITDAは同11%増加した。フィルム・エンタテインメント事業の売上高は同25%増,EBITDAは同8%増。ネットワーク事業の売上高は同10%増,EBITDAは同16%増。音楽事業の売上高は同2%増,EBITDAは同10%増となった。出版事業の売上高は同11%増,EBITDAは同23%増加した。

 AOLサービスは,2002年第3四半期に世界で20万6000人の新規会員を獲得した。米国で12万9000人,欧州で14万8000人増加したが,他の地域で7万1000人減少した。2002年9月30日時点のAOL会員は世界で合計3530万人(米国が2670万人,欧州が610万人)に達した。米国AOL会員の平均利用時間は1日当たり69分。前年同期は同64分だった。

 同社は2002年通年の売上高を,従来の予測と同じ前年比5~8%増と見込んでいる。EBITDA成長率は事前予測である5~9%増の前半に留まるとみる。

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