IEEE1394の標準化を進める業界団体1394 Trade Association(1394 TA)の役員会は,自動車向けLAN規格「1394-Automotive(別名:IDB-1394)」を承認した。1394 TAが米国時間10月17日に明らかにしたもの。

 1394-Automotiveは,自動車内LANの標準化を目指すIntelligent Transportation System Data Bus(IDB)Forumと1394 TAが共同開発するIEEE1394ベースのネットワーク仕様。基本アーキテクチャやプロトコルに加え,プラスチック光ファイバや銅線といった物理層技術についても定義している。車内LANを使って,車載機器とIEEE1394対応CDプレーヤ,DVDプレーヤ,ゲーム機,コンピュータといったポータブル機器を接続できるようにする。

 1394-Automotiveの特徴的な要素の一つに,「Customer Convenience Port(CCP)」と呼ぶ接続用コネクタがある。これにより,1394対応ケーブルやコネクタを使って,ゲーム機やコンピュータ,ハンドヘルドなどの民生機器を車内LANに接続できる。「CCPでは,プラットフォームの相互接続性,移植性,拡張性を確保しており,既存の電子機器の接続が可能」(1394 TA)という。

 プラスチック光ファイバを使用することで,LANに接続した機器同士の通信速度は最大400Mbpsとなる。

 1394 TAによると,「同仕様の完成が近づくにつれ,米国,日本,韓国,欧州の大手メーカーが関心を示すようになってきた」という。なお,米Ford Motorと米Mack Trucksは1394-Automotiveの初版を実装した試作車を製作し,2000年と2001年のConsumer Electronics Showで展示を行っている。

 「1394-Automotiveは,車内向け分散オーディオ/ビデオ向けの高速ネットワーク・バックボーンとして,最も柔軟性に富み,適したものである」(1394 TA副会長兼1394-Automotive仕様開発リーダーのMax Bassler氏)

 今後の活動について仕様開発グループ会長のBrad Little氏は,「現在仕様開発グループは,1394-Automotive仕様で物理層を介した電力供給を行うための定義に向け,検討作業を進めている」と説明する。「これにより,自動車業界の厳しいEMI(電磁妨害)条件に適合する低コストで実装可能な標準仕様を実現する。2003年前半には結果を出せるだろう」(同氏)

◎関連記事
車内LANと携帯機器とつなぐ標準仕様「IDB-1394」のドラフトを発表
「2005年までテレマティックス・サービスの著しい普及はない」,米Gartner
BluetoothとWi-Fi技術が自動車環境に変化をもたらす
「北米のテレマティックス市場,2006年には現在の6倍の約30億ドル規模に」,と米調査
「自宅や会社と同じ環境を車で実現する」,日産ゴーン社長が意欲
「車載システムは5年以内にデスクトップPC並みのパワーに」と米社が予測
テレマティクス・サービス(キーワード3分間講座)
あなたは“クルマの情報化”にお金をかけますか?

[発表資料へ]