米Intelが米国時間10月15日に,新型ネットワーク・プロセサ「Intel IXP2850」を発表した。セキュリティ機能を組み込んでおり,「ネットワークで安全に情報を転送できる通信機器の開発を簡素化し,コストを低減する」(Intel社)という。

 Intel IXP2850の主な特徴は以下の通り。

・プログラム可能なことから,複数のWWWサーバー間の負荷分散といった高度なサービスを提供できる。

・LSI内のハードウエアが,3DES,AES,SHA-1といった一般的な暗号化/データ保全標準を最高10Gbpsの速度で処理する。

・「IXP2800」製品ファミリのアーキテクチャにより,データおよび状態情報をアプリケーション間で共有できる。そのため,必要とするメモリー容量と電力を最小化するとともに,全体的な実装面積を小さくできる。

 「eコマースなどに対応するために,コンテンツを安全な環境で転送する必要性が増えている。(プログラミングやセキュリティなど)複数の機能を単一LSIに統合することで,機能の実装作業を省力化すると同時に,コストと開発期間を目標に合致させることができる」(Intel社ネットワーク・プロセサ部門担当ジェネラル・マネージャのDoug Davis氏)

 また同社は,IXP2850を搭載する製品の開発作業を迅速化するための,ハードウエアおよびソフトウエアによる開発ツール・スイートと設計サービスについても明らかにした。

 IXP2850は,現行の開発プラットフォーム「IXDP2800 Hardware Development Platform」とピン互換性のある設定が可能なので,顧客がこれまで行った投資やボード設計を無駄にすることなく再利用できるという。また,「Intel Internet Exchange Architecture(IXA)Software Development Kit 3.0」に含まれる既存のシミュレーション・ルーチン,ライブラリ,コンパイラ・ソフトウエアは,IXP2850のセキュリティ機能に対応するようアップデートされている。そのため,「トレーニングとサポートの経費を最小限に抑えられる」(同社)

 さらに,包括的な参照ソフトウエアとサポート・サービスも用意する。そのなかで同社は,IPsecやTCP/SSLといったセキュリティ標準向けの暗号処理ビルディング・ブロックへの対応や,コード設計/モジュール統合/パフォーマンス調整などカスタム・ソフトウエア・サポートの提供を行うという。

 Intel IXP2850は,2003年第2四半期に利用可能とする予定。ロット購入時の単価は725ドル。

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