米In-Stat/MDRが米国時間10月14日に,無線ハンドセットとPDAのディスプレイに関する調査結果を発表した。同社は,2008年までにこれらデバイスに搭載されるディスプレイがカラーになると予測している。そのため,2002~2006年までに世界の同ディスプレイ市場は,年間平均成長率33.6%で拡大するという。

 18カ月の売り上げがゼロ成長だった無線ハンドセットとPDAの市場は,新しいモデルを求める消費者により売り上げが伸びている。これは,これらデバイスに搭載されるBluetooth技術やより速いデータ転送率,または位置情報サービスではなく,カラー・ディスプレイが牽引している。バッテリまたは燃料電池の改良によって消費電力に関する問題が解消された場合には,50%のコストが削減されるという。

 「現在アジアの製造業者は,カラー・ディスプレイの専門知識と製造能力を使って急速にデバイスの製造を進めている。日本だけでも1カ月に100万を越えるカラー・ディスプレイの需要がある。問題は,この需要を満たすのに十分な短期的製造機能があるかである」(同社の無線リサーチのディレクタ,Ray Jodoin氏)。

 同社が予測する同市場におけるその他の障害の可能性は次の通り。

・バッテリの寿命
カラー・ディスプレイのドライバは,モノクロよりも消費電力が多い。これは,偏光板を通じてより強い照度の伝達を必要とするバックライトが要因となっている。

・コストの増加
モノクロのディスプレイ製造にはコストが7~12ドル,カラー・ディスプレイでは56ドル~72ドルとなる。コストの差の大部分は,より高い電圧を必要とする蛍光表示管バックライトが要因となっており,ディスプレイ自体も製造がより複雑になっている。日本と韓国の携帯電話加入者が,モノクロ・ディスプレイからカラー・ディスプレイ搭載機種に買い換えているが,その他の地域が,この傾向に従うかどうかは不明。

・有用性
ディスプレイ業界は,全体として製造能力をもてあましており,そのほとんどが,PC業界向けのより大きなディスプレイの製造の分野。より小さなディスプレイの製造に向けた,工場の機械設備の変更が予測される。

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