米IDCが米国時間10月11日に,2002年第3四半期の世界サーバー市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年第3四半期のStandard Intel Architecture Servers(SIAS)市場は2001年初頭以来初めての伸びをみせ,50億ドル規模に達する見込みだという。

 しかし企業のサーバー支出に対する慎重な姿勢は変わらず,第3四半期における市場の伸びをもってしても,2002年の市場はかろうじて前年の横ばいに回復する程度だ。

 2002年第3四半期における米国市場は,ローエンド分野の回復が引き金となり,前年同期比4.7%増になる見通しだ。また大容量サーバー・ベンダーの多くは,7月と8月に好調な売り上げを記録しているほか,いくつかの垂直市場においても新たな見積もり請求や商談を受けているという。米国市場における不透明感は残るが,市場は徐々に回復に向かっており,前期と比べて8.6%成長するとみる。しかし,2002年第3四半期~第4四半期における成長は2002年前半の不振に相殺され,2002年通年では前年比9%減になる。

 「IT企業は業務遂行に必要な最小限の購入しか行っておらず,サーバー市場が経済の低迷から完全に脱出したわけではない」とIDC,Global Enterprise Serverソリューション部門担当副社長のVernon Turner氏は述べた。「しかし市場は,回復へ向けて最初の一歩を踏み出したようだ」(同氏)

 IDC,Server and Infrastructure Hardware Research部門担当ディレクタのMark Melenovsky氏は,「世界市場の成長をけん引しているのは,アジア太平洋地域の新興市場や米国である。中南米,西欧,日本などの市場では支出が伸びておらず,それが世界市場の急速な成長を妨げる足かせとなっている」と説明した。

 長期的にみた場合,サーバー市場は今後5年間に年平均3%で成長し,2006年には634億ドル規模に拡大する。市場の成長を後押しするのは,Linuxハードウエアと米Microsoftのサーバー・プラットフォームである。2006年までに,Linuxハードウエア分野は現在の約3倍の65億ドル規模へ,Microsoft社のサーバー・プラットフォーム分野は約5億ドル増の190億ドル規模へ拡大する。

 また,RISCベースのシステムがハイエンド分野で足場を固める見通しだ。Linuxや64ビットの大容量サーバー・プラットフォーム,メインフレーム独自の技術などと激しい競争を余儀なくされるが,2006年には約277億ドル規模へと成長する。

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