gTLD(一般トップ・レベル・ドメイン)である「.org」のレジストリ業務(管理業務)が米VeriSignからインターネット関連国際団体ISOC(Internet Society)に移管されることになった。ISOCが米国時間10月14日に明らかにしたもの。

 これに伴い,ISOCはPIR(Public Interest Registry)と呼ぶ下部組織を設立,「.info」のレジストリ業務を手がける米Afiliasの協力のもと「.org」のレジストリ業務の当たる。なお移管作業はVeriSign社と協力して円滑に行うため,既存の「.org」ドメイン所有者やレジストラには何ら支障はないという。 また下部組織のPIRは今後,さまざまな新サービスを提供し,「.org」ドメインの所有者である非営利団体のニーズに応えていくという。

 「.org」の移管を巡っては長い経緯がある。同ドメインのレジストリ業務はこれまでVeriSign社が行っていたが,2001年3月,VeriSign社と,ドメイン名/IPアドレスの管理の非営利民間組織ICANN(Internet Corporation for Assigned and Numbers)が,その契約内容を修正することで合意,これによりVeriSign社の「.com」に関するレジストリ業務は2007年まで,「.net」は2006年までとなった。その一方で「org.」については,2002年12月までで打ち切り,VeriSign社はその権利を放棄し,2003年1月以降は,非営利組織が「.org」の管理を行うとしていた(関連記事)。

 その後,2002年6月にISOCを含む11の団体が,ICANNに対して自団体への移管案を提出。2002年9月には,ICANNの評価チーム(Evaluation Team)が最終提案をICANN役員会に提出した。そして10月14日,同役員会による投票が行われ,ISOCが圧倒的多数で支持を獲得した。ISOCとICANNの最終契約は今月末にも完了する見込みである。

 なおISOCは,インターネットとインターネット関連技術の開発・普及を目的とする非営利の国際組織である。下部組織にIETF(Internet Engineering Task Force),IAB(Internet Architecture Board)などがある。

 レジストラの指名など,ドメイン名の包括的な管理はもともと,このISOCの下部組織であるIANA(Internet Assigned Number Authority)や米Network Solutions(NSI)が米国政府から委託を受けて行っていた。しかし,1998年6月に米政府がインターネット管理の民営化案(DNSホワイト・ペーパー)を公表したことを受けて,1998年10月に民間組織のICANN設立が発足,こうした権限は同団体に移管された。

 NSIはその後,米VeriSignに買収され,民営化方針に伴って,これまでのgTLDに関する独占状態を払拭するという目的で,その登録・管理業務権内容の変更を強いられている。一方のIANAは,ICANNの下部組織となった(関連記事)。

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