米TRACE strategiesが米国時間10月10日に,北米のLinuxをベースとするデジタルITVに関する調査結果を発表した。次世代デジタルITVのクライアント・デバイスとサービスのプラットフォームとしてLinuxが2006年まで安定した成長を見せるという。

 2003年における北米のTVオペレータに出荷されるデジタル・セットトップ・ボックス全体で,組み込み型Linuxは5%を占めると予測されるが,2006年には12%に拡大するという。さらに,Linuxベースのホーム・ゲートウェイ・メディア・センター,デジタル・セットトップ・ボックス,デジタル・ビデオ・レコーダなどのITVクライアント・デバイスは,2006年まで平均年間成長率70%で増加すると見込まれている。

 同市場におけるLinuxの普及は,低コスト,柔軟性,強力なネットワーキング機能,さまざまなチップ・アーキテクチャへの対応が要因となっている。現在,すべてのLinuxベースのITVにおいてインハウスの開発が最大のシェアを占めており,商用のLinuxベースのITV開発において,最大のシェアを獲得しているのはRed Hatだった。

 LinuxをベースとするITVクライアント・デバイスの市場は,現在米TiVoが支配しており,次に米Motorolaが続いている。米Scientific-Atlanta,英Pace,パイオニアなど競合の中で,両社の首位は2006年まで揺らがないと予測される。

 また,LinuxベースのITV開発者の大規模なコミュニティは存在しないが,デジタルTV向けLinuxベースのAPI仕様を設計するための業界の努力により,開発者のサポートが実現される。実際に,開発プラットフォームとしてLinuxの使用を予定するITV開発者と標準アプリケーションを作成した後に,Linux環境への意向を予定している開発者が増加していることが分かった。

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