米IBMが米国時間10月8日に,UNIX OSの新版「AIX 5L Version 5.2」を発表した。「メインフレーム型の負荷分散機能を備え,システムの稼働率を大幅に向上する」(IBM社)としている。

 業界におけるUNIXシステムの平均稼働率は10~15%という。IBM社は,「ピーク稼動率が平均85~100%というメインフレーム型の負荷分散管理機能をAIX 5L Version 5.2の開発に取り入れた」(IBM社)。

 AIX 5L Version 5.2はIBM社のサーバー「eServer pSeries」に対応する。サーバーを,UNIXあるいはLinuxが動作する小規模の“仮想サーバー”に区分することが可能。メインフレームと同様に負荷やリソースの割り当てを変換することで,システムの性能をフル活用できる。一つのパーティションに問題が発生しても,他のパーティションが影響を受けることはない。

 AIX 5L Version 5.2では,シングル・プロセサ構成で主記憶250Mバイト程度の規模の区分が可能。パーティションを小規模にすることで,より効率的なリソース割り当てを実現にする。「ちなみに米Sun Microsystemsのシステムでは,最小パーティションの規模はプロセサ2個,主記憶2048Mバイトである」(IBM社)

 AIX 5L Version 5.2には,動的LPAR(Logical PARtitioning:論理区画)技術を組み込んでいる。同技術により,プロセサやメモリーといったリソースを各パーティションごとに動的に割り当てることができる。再起動する必要がないため,システム管理の手間が軽減する。

 システムの拡大に応じて支払う仕組み「Capacity Upgrade on Demand(CUoD)」もAIX 5L Version 5.2の特徴だ。CUoDと動的LPARの組み合わせにより,例えばeServer pSeriesのプロセサ1個が故障しても,オンラインを介して新しいプロセサが自動的に有効になるため,サービスを停止することはない。

 その他,AIX 5L Version 5.2では「AIX Toolbox for Linux Applications」,「AIX Workload Manager(WLM)」,「Logical Volume Manager(LVM)」,JFS2ファイル・システムなどの強化を図った。

 またIBM社は,各種クラスタ製品の新版や拡張内容についても明らかにした。「Clustered Systems Management(CSM)Version 1.3」では,Linuxを搭載した「eServer xSeries」やAIXを搭載したeServer pSeriesのインストール,設定,管理,アップデートを一元的に制御できる。「eServer Cluster 1600」はAIX 5Lを搭載した最大128台のeServer pSeriesをサポートする。「eServer Cluster 1350」はLinuxを搭載したeServer xSeriesを最大512台までサポート可能。

 CSM Version 1.3は2002年10月25日に利用可能にする。最大128台構成に対応したeServer Cluster 1600は2002年12月13日にリリースする予定である。

◎関連記事
米IBMが「AIX 5L」の新機能を発表,「大容量の情報処理を効率化」
米IBMがAIXを64ビットJava対応に,「SolarisやHP-UXに先んずる」
米IBMがLinuxとの親和性高めた「AIX 5L」を発表,米SCOがプレビュー版
米IBMがクラスタ・ソリューション「eServer Cluster 1600」の強化版を発表,「数100台のサーバーのクラスタ化も可能」
米IBMがクラスタ・サーバー「eServer Cluster」を発表,OSはLinuxとAIX
米IBMが4ウエイのUNIXサーバー「eServer p630」を発表,「米サンに対抗」
米IBMがミッドレンジのUNIXサーバー「eServer p670」を発表,「POWER4」搭載
「2002年Q2の世界サーバー市場は0.5%増の横ばい,米国は2期連続で堅調な伸び」,米データクエスト

[発表資料へ]