「2001年における米政府機関の対外IT支出は289億ドルだった。今後市場は年平均7.8%の成長率で拡大し,5年後の2006年には422億ドル規模にまで発展する」。米IDCが米国時間9月23日に,米政府機関のIT支出に関する調査・分析結果を発表した。

 これらの調査・分析結果はITベンダーにとって,その市場が広がることを意味するが,市場はさらに拡大する可能性を持っている,同社は分析する。

 「この数値は政府機関の対外IT支出だけを示したもの。IT支出全体の金額は,政府機関の対内IT支出(ITに携わっている職員に対する給与など)を加えるとその2倍以上になる」(同社)

 しかし5年後には政府機関の半数以上の職員が退職する年齢に達することから,政府機関の内部でIT技術者が不足することになるという。「これにより外部のITベンダーへのアウトソーシング需要が増える」(同社)

 IDCが明らかにしたこの他の調査・分析結果は以下の通り。

・289億ドルという数字は,不況が続くこの経済情勢において,政府機関向けITアウトソーシング市場というものが非常に健全なものであることを示している

・今後5年間で,最もビジネス・チャンスが大きく,最も成長が速いと考えられる市場分野はソフトウエアとITサービスである

・連邦政府,州政府,地方自治体といったカテゴリで,最も成長が速いと考えられるのは地方自治体,最も市場規模が大きいと考えられるのは連邦政府である

・米政府は,時代遅れとなったITインフラを改善し,効率の向上を図りたいと願っている

・政府機関というものは,まさに“官僚的”な組織の集まりである。腰が重く,容易/迅速に変化しにくいという性質をもっている。こうした複雑な市場に取り組むITベンダーはその力学をよく理解し,そこからうまくビジネス・チャンスを“抽出”していく必要がある

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