米IBMが米国時間9月24日に,Webサービス開発環境の新版「WebSphere Studio Version 5」を発表した。「Javaと従来の資産を単一の開発環境内で統合する初めてのソフトウエア」(IBM社)という。

 「複数のプラットフォーム/プログラミング言語/古いアプリケーション/ベンダーの新規および既存ソフトウエアからWebサービスを容易に作成できるようにすることで,顧客,ベンダー,パートナ,従業員によるeビジネスに対する取り組みを支援する」(同社)

 WebSphere Studio Version 5の特徴について,IBM社は次のように説明する。「他社が提供する同種のソフトウエアは,特定のモデルに合わせてアプリケーションを書き換える必要がある。それに対しWebSphere Studio Version 5では,JavaベースのWebサービスを開発できると同時に,かつてCOBOLやPL1などで作成した既存資産を最新の環境で利用可能な状態に改造できる。米Microsoftの.NETなど独自フレームワークに適合させる際に行う,経費と時間がかかり柔軟性に欠ける作業は必要ない」(同社)

 同ソフトウエアには「WebSphere Application Server Version 5」の内蔵版が付属しているので,WebSphere Studioの開発環境を使用してアプリケーションの構築/統合/導入/試験を開始できる。

 WebSphere Studio Version 5はJ2EE 1.3やEclipse Version 2,Web Services Business Process Language(BPEL4WS)などの仕様に対応しており,Red Hat LinuxおよびSuSE LinuxのいずれもVersion 7.2上で動作する。Eclipseの最新版に対応したことで,米Rational Software,Interwoven社,米TogetherSoft,米Macromedia,米Serena Software,米Instantiations,カナダSitraka,米Genuitecなどが提供する175種類以上のプラグインを使用でき,WebSphere Studio Version 5のパーソナル化が可能となる。

 また,Apache Strutsを使うと,WWWアプリケーションの構造を模式的に表示することができる。Apache Strutsはオープン・ソース対応フレームワークで,Java Servlets,JavaBeans,XMLなどの標準技術を使うWWWアプリケーションの構築/管理/変更作業の負荷を軽減できるという。

 さらに,Macromedia社の「ColdFusion MX for WebSphere」により,ColdFusionアプリケーションをそのままWebSphere内で実行できる。

 そのほかの機能として,性能分析/記録ツール,既存資産分析,自動コード生成,統合デバッガ,内蔵テスト環境を備え,開発作業の早い段階でのバグ発見が可能という。

 「顧客はソフトウエア購入で1ドル支出する都度,その統合に5ドル費やしている。当社は,過去30年間に入手したソフトウエアの近代化/統合にかかるコストを削減できるよう,顧客を支援する」(IBM社WebSphere担当マーケティング・ディレクタのScott Hebner氏)

 WebSphere Studio関連製品の発売時期と価格は以下の通り。

・「WebSphere Studio Application Developer V5」:9月24日発売。1ユーザー当り3499ドル

・「WebSphere Studio Enterprise Developer V5」:9月30日発売。1ユーザー当り7500ドル

・「Macromedia ColdFusion MX for IBM WebSphere Application Server」:9月24日発売。1プロセサ当り4000ドル

・「WebSphere Studio Application Monitor for zOS」「同OS/390」:10月発売

・「WebSphere Studio Workload Simulator for zOS」「同OS/390」:10月発売

◎関連記事
米IBMがビジネス・インテグレーションに向けた「WebSphere」製品を一挙に発表
米IBMが新たな「WebSphere Studio」製品と各種ツールキットを発表
「Webサービスの開発環境は整った」,IBMのWebSphere担当副社長が宣言
米企業のアプリケーション・サーバーの採用率,米Oracleが米BEAと米IBMを抜く
米マクロメディアがWWW開発向け主要ソフトウエアの「MX」バージョンを発売
米サンがJ2EEの最新版「1.3」を正式発表,Webサービス向け機能を高める
米IBMが4000万ドル相当のソフトをオープン・ソース・コミュニティに寄付-Javaベースの開発環境「Eclipse」に注力-
「慎重な企業でも2003年にはWebサービスの試験的プログラムを始める必要がある」,米Gartner

[発表資料へ]