米Yankee Groupは米国時間9月24日に,米国におけるキャリア向け回線卸売り市場に関する調査結果を発表した。それによると,同市場は2002年に横這い状態が続いていたが,2003年には前年比27%増の197億ドル規模に達するという。拡大する顧客層が運営リスクを緩和し,売り上げ増加に貢献する。

 しかし,市場の回復に先立ち,業界では大規模な淘汰が進む見通しだ。Yankee Group社Wholesale Communications Services調査担当上級アナリストのSeth Libby氏は,「いくつかの企業は,米連邦破産法11条によって生き残るかもしれないが,破産法は業界全体を救済できる万能薬ではない。逆に,業界の混乱と先行きの不透明さを増す危険もある」と指摘した。

 Libby氏は,「キャリア向け回線卸売り市場は米国の電気通信業界に欠くことができないものである」と述べ,「現在,卸売り市場でみられる景気と不景気の波は,急成長を遂げる分野にはつきもののサイクルだ」と説明した。

 卸売り市場は,競争力のあるテレフォニ市場の確立と,新しいサービスおよびサービス・プロバイダの出現に不可欠である。また次世代伝達技術,ギガビットEthernet,IPサービスなど,新技術の革新にも貢献しているという。

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