電子計測器メーカーの米Keithley Instrumentsは米国時間9月24日に,計測器を取り巻く技術に関する調査結果を発表した。それによると,汎用インタフェース・バス(GPIB)やシリアル・インタフェースの代替として,Ethernetが広く普及しつつあるという。また米MicrosoftのOSが大半を占めるなか,測定業界ではLinuxが確固とした足場を固めつつある。

 調査は2002年4~5月に,さまざまな業界で電子機器を用いたテストや測定に従事するエンジニア265人を対象に,アンケートを実施したもの。なお回答率は11%だった。

 主な調査結果は次の通り。

・測定業界ではEthernet,USB,Firewireなど,新しいプロトコルへの移行が進んでいる。現在,計測器から測定データを取り込む際に使用しているインタフェースと,今後12カ月間に使用予定のインタフェースを尋ねたところ,「シリアル・ポートおよびGPIB」とするエンジニアが大幅に減少することがわかった。一方,「Ethernet」は現在の29%から将来は39%へ,「USB」は現在の23%から将来は37%へ,「Firewire」は現在の11%から将来は21%へと,着実に増加する。

・Ethernetの人気が,その他の質問からも明らかになった。「Ethernetを測定の大半,もしくは一部に使用している」と回答したエンジニアは21%。「使用を検討している」とするエンジニアは34%だった。また現在,「無線Ethernetを使用している」と答えたエンジニアも8%に達した。

・コンピュータ・バックプレーンを,データ収集ボードとして使用する傾向は継続する。PCIとISAボードの使用は今後減少し,VXIおよびPXIバックプレーンの使用が増加する見通しだ。またPCMCIAカードの利用は,今後12カ月間横這い状態が続く。PCMCIAは当初,テスト用プラットフォームとして急速な成長が期待されていた。しかし,ノート型パソコンの価格が下がらないことや,USBの普及によってデスクトップ・パソコン環境への導入が進んでいないことなどが,普及の妨げとなっている。

・高解像度と高速計測に対する需要が急増した。2000年に同様の調査を行った際に,「26~28ビット」の解像度で計測しているエンジニアはわずか3%に過ぎなかったが,現在は19%である。また2000年に「毎秒1万回以上」の測定速度を要求するエンジニアは12%だったが,現在は19%。

・許容できる誤差が「0.1%」というエンジニアの割合は,2000年が32%で現在が30%と,大きな変化はなかった。

・測定プラットフォームとして,「現在Linuxを使用している」と回答したエンジニアは7%。「今後12カ月間にLinuxへ移行する予定」と回答したエンジニアは14%だった。また,最も優勢なプラットフォームは「Windows NT」で57%。「Windows XP」を使用するエンジニアは12%にとどまった。その他のプラットフォームとしては「UNIX」(14%),DOS(31%),Macintosh(7%)などが挙げられた。

・計測ソフトウエアではMicrosoft社製品の人気が高い。最も頻繁に使用するソフトウエアとして「Excel」を挙げたエンジニアは44%,「Visual Basic」が34%。その他には「Labview」(35%)と「C/C++」などが挙げられた。

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