米Hewlett-Packard(HP)が米国時間9月23日に,モバイル機器向けのマルチメディア・コンテンツ配信技術「Mobile Streaming Media-Content Delivery Network(MSM-CDN)」を発表した。同社研究所員とNTTドコモの研究者が2年間にわたって共同開発した技術である。

 「既存の技術ではマルチメディア・コンテンツを配信できるモバイル・ユーザー数に限りがあるため,配信速度やコンテンツ・クオリティを維持することが難しい。第3世代ネットワークでは帯域幅が広がるが,それだけでは重要な技術的障害を取り除くことはできない。MSM-CDNはこうした問題を解決する」(HP社)

 MSM-CDNの主な特徴は以下の通り。

・ユーザーに近い場所にあるエッジ・サーバーにメディア・コンテンツを配信

・モバイル・ユーザーによる利用度をベースにしたコンテンツ配信

・常に変化する有線/無線ネットワークの状況に適応した,メディア・ストリーミングを実現

・システムおよびネットワーク管理,負荷分散といった機能を装備

・MSM-CDNでコンテンツを扱う手法をコンテンツ・プロバイダが設定できるメディア管理インタフェース

 MSM-CDNはMPEGとIETFをベースにしており,3GPP(Third Generation Partner Project)規格に対応する。オープンな標準規格を用いることにより,「コンテンツ・プロバイダ,MSM-CDN,そしてさまざまな機器を利用するユーザー間の相互接続性を高める」(HP社)としている。

 「我々が開発したMSM-CDNにより,多数のモバイル・ユーザーに対応し,ユーザーの使用機器に適したビデオ・ストリーミングを提供できる」(HP社研究所Streaming Media Technologies部門研究開発マネージャのSusie Wee氏)

 HP社とNTTドコモはMSM-CDNのプロトタイプを作成済みである。プロトタイプはコンテンツ配信,メディア・キャッシング,ストリーミング,リソース管理,シグナリングなどの機能を備えたエッジ・サーバーで構成する。

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