米Sun Microsystemsが米国時間9月19日に,次世代データ・センター構想「N1」のロードマップを明らかにした。サーバー,ストレージ,ソフトウエア,ネットワーキングなど幅広いコンピューティング・リソースを集約し,単一の強力なシステムのように動作させるデータ・センター・アーキテクチャである。「技術管理に関する複雑な作業を自動化することで,企業やITマネージャがデータ・センターの稼働率,効率性,機敏性を最大限に高められるようにする」(Sun社)

 Sun社N1部門バイス・プレジデントのSteve MacKay氏は,「Sun社の顧客企業はIT予算の70%を複雑なデータ・センター関連の管理に費やしている。N1はそうした企業がコストを削減しつつ,付加価値プロジェクトに注力できるようにする」と説明し,「N1はデータ・センターに革命的な影響を与えるだろう」と述べた。

 N1は従来のITインフラをより効率的なコンピューティング・モデルに変える。必要な分だけ代価を支払う「ユーティリティ・コンピューティング」を実現し,企業の技術管理手法を新たなレベルに発展させることを目指す。Sun社は年内より,N1製品の市場投入を開始する計画である。

 今回発表したロードマップの主な内容は以下の通り。

・フェーズ1「Virtualization」(2002年~):N1対応の基本的なインフラを提供する。ユーザーが各コンピュータ,ネットワーク要素,ストレージ・システムを集約し,これらリソースの使用を配分,監視,計測できるようにする。

・フェーズ2「Services Provisioning」(2003年~):管理者がeバンキングなどの事業に向けたサービス定義を指定し,必要なリソースの割り当てをN1が担う。フェーズ1で構築した仮想コンピュータのリソースを用いる。

・フェーズ3「Policy-Automation」(2004年~):アプリケーション・サービス・レベルの基準をN1が自動で管理する。事業条件や優先順位に影響のあるポリシーを,ネットワーク全体にわたるリソースやアプリケーションの管理に利用する。

 Sun社はN1環境への移行を促進するため,同アーキテクチャの初期設計や導入,管理のガイダンスを提供する。Sun社によると,フランスのCap Gemini Ernst & Young,米EDS,米Deloitte ConsultingなどがN1に関してSun社と提携を結んでおり,米Oracle,米BEA Systems,米BMC Software,米Computer Associates,米i2などがN1へのサポートを表明しているという。

 またSun社は「N1の実現に向け」(Sun社),米Pirus Networksを買収することで最終合意に達したことを同日明らかにした。取り引きは株式交換方式で行い,2003会計年度第2四半期に完了する予定である。Pirus社は分散したシステム環境向けのストレージ・ネットワーキングを手がける企業。買収後はSun社Network Storage事業の一部となる。

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[発表資料(1)]
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