東芝の米国子会社Toshiba America Electronics Components(TAEC)が米国時間9月19日に,動作周波数5GHz帯の新しいチップセット「TC35672」と「TA35151」を発表した。これは高速なブロードバンドWLANに必要なコンポーネントを提供し,IEEE 802.11a仕様に準拠する。チップセットは,ベースバンドLSIと中間周波数(IF)ICで構成される。

 同社は,将来の家庭における無線オーディオ/ビデオ(A/V)配信に向けた市場に対応するために5GHzのWLANソリューション開発したと説明している。同社のASSP事業部門の副社長であるFarhad Mafie氏は,「5GHzのWLANは理想的な無線技術であり,家庭においてゲートウェイ製品と他のWLAN対応製品間でA/Vを無線で分散させるための標準の一つになると考えられる」と説明している。

 TC35672のベースバンドLSIは,データ転送速度が54Mバイト/秒の回路と40MHzで動作する10ビットのアナログ/デジタル,デジタル/アナログのコンバータを搭載する。高速処理と低消費電力は,同社のTX39コアと電源管理システムによってサポートされている。

 TA35151のIF ICは,ベースバンドLSIのインタフェースである。直交モジュレータとデモジュレータとともに,ACに残ったDCエレメントを取り除くDCオフセット機能を搭載している。無線周波(RF)ICから信号を受信すると直交モジュレーションとデモジュレーションを実行し,ベースバンドLSIに信号を送る。アナログ信号を高い精度で迅速に処理する。

 同チップセットは,CardBusインタフェースに対応し,PCIカード,アクセス・ポイント,PC,PDAなどのPCMCIAベースのデバイスに統合できる。チップセットは,Wi-Fi仕様に準拠している。

 TC35672とTA35151は,2002年11月にサンプル出荷を開始する。100ロット時の単価は,TC35672が60ドル,TA35151が5ドル。2003年3月に量産体制に入る予定である。

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