米Allied Business Intelligence(ABI)が米国時間9月19日に,超広帯域無線(UWB:Ultra Wideband)対応製品に関する調査結果を発表した。それによると,「今後数年でUWBはさまざまな用途に利用されるようになり,特に家庭および消費者向けネットワーク機器におけるビデオ,音声,データの無線通信分野で活躍する」(ABI社)という。

 UWBは,従来の無線通信技術と異なり,搬送波を使わずに無線通信を行うという特徴を持つ。搬送波の代わりに1p秒(1兆分の1秒)未満の変調パルスを使用し,これを広い周波数帯に同時に送信することで通信を実現する。

 UWBはBluetoothやWi-FiなどのLAN向け無線技術に比べてデータ転送速度を高速化できる上,消費電力が少なく,対応チップセットの価格にも競争力がある。

 「米連邦通信委員会(FCC)がUWBの民生利用を許可したこと,USB対応LSIの開発が進んでいること,市場でこの種の技術に対する必要性が高まっていること,という三つの条件が重なり,UWBの商業的価値が上がっている」(ABI社)

 ABI社が予測する今後のUWB市場の状況は以下の通り。

・UWB対応チップセットの大量生産は2003年に始まり,UWB対応の消費者向け製品は2003年末から2004年初めにかけて登場する

・2007年にはUWB対応電子機器とチップセットの合計出荷台数は4510万台に達する。2007年末までの売上高は13億9000万ドルにのぼる見込み。製品が出荷される主な分野は,通信,画像処理,自動車,位置入力装置,軍および政府

・家庭/消費者向けネットワーク機器以外に,UWB技術は位置情報システムで利用されるようになる

 ただし,ABI社アナリストのPaul Marcik氏は「標準仕様のないことが,UWB普及の障害」と指摘している

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