「2007年までに,消費者1人当たりが1年間に受け取るスパム・メールは3900通を超えるだろう」。米Jupiter Researchが米国時間9月18日に,電子メール・マーケティングに関する予測分析を発表した。

 企業が電子メール・マーケティングにかける費用は,2002年の14億ドルから2007年には83億ドルへと急増する。

 「2001年に,米国の消費者が受け取ったスパム・メールは1400億通に達しており,今後5年間にその数はますます増えるだろう。ユーザーは,個別のメール・アカウントを利用したり,フィルタを利用するなどして,迷惑メールに対する自衛策を講じるようになる」(Jupiter Research社上級アナリストのJared Blank氏)

 Jupiter Research社によると,現在,ユーザー1人当たりが1日に受け取るスパム・メールは6.2通で,2001年の3.7通から大幅に増加している。スパム・メールは今後増加の一途をたどり,2007年の合計は6450億通を超える見通しだ。今後5年間に平均的なオンライン・ユーザーが1日に目にする広告についても,現在の447回から830回へとインプレッション数が約倍増する。

 無差別に送信されるスパム・メール以外の広告メールをみた場合,今後5年間は既存顧客維持を目的としたキャンペーンが大半を占める。しかし,マーケッタは2004年まで,新規顧客獲得を狙った広告メールにより多くの費用をかける見通しだ。

 ニュース・レターと電子メール・マーケティングの浸透に伴い,消費者が読まずに削除するスパム・メールやニュース・レターは増加する。その結果,これらメールによるブランド確立やメッセージ伝達の効果は減少する。

 Blank氏は,「過去2年間の景気の低迷により,企業はマーケティング予算をより効率的に使わざるを得なくなった。電子メール・マーケティングで成果をあげるには,これまでのように大量の広告メールを送るだけでは不十分だ。各消費者の関心に焦点を当てたメールを適時に送信しなければ,消費者に読んでもらえる可能性は低い」と,指摘している。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・2004年まで,テキスト形式のメールが広告メールの大半を占める。しかし,消費者の反応が良いのはHTML形式のメールである

・2005年までにリッチ・メディアを提供する広告メールが定着し,広告メール予算の19%を占めるようになる。また2007年には,リッチ・メディア広告が市場の25%を占める

・米国で電子メールを日常的に利用するユーザーは,2001年末の1億450万人から,2007年末には1億6540万人に増加する見通し

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