アイルランドのIONAが米国時間9月16日に,Webサービスの開発/導入/統合/管理用プラットフォームの新版「Orbix E2A Web Services Integration Platform - XMLBus Edition v5.4」を発表した。

 「新版では機能を強化し,CORBAによるシステムとWebサービスの接続を可能とする」(IONA社)。「Operation Flow Designer」などの新機能により,複雑なCORBAシステムをより抽象的で業務に密着したWebサービスに対応付ける際に起きる問題を解決できるという。

 「Orbix E2A - XMLBus Edition v5.4を使ってCORBAとWebサービスの接続を容易にすることで,既存のアプリケーションやシステムなどの資産を,生産性の高い新しい方法で活用できる。その結果,業務の効率を向上すると同時に,リソースに対する依存性と運用コストを削減できる」(同社)

 同社はOrbix E2A - XMLBus Edition v5.4でCORBAシステムを拡張/最適化してWebサービスを導入する方法として,以下のような例を挙げている。

・J2EE,メインフレーム,米Microsoftの技術などを使用する企業内アプリケーションとCORBAアプリケーションを統合する。その際,CORBAシステムの改造や,新たなCORBAインタフェース・コードの開発は不要。

・既存のCORBAシステムの企業内などへ公開する。

・CORBAアプリケーションの利用を,WWWブラウザなどを使い,インターネット経由で利用可能とする。

・古いCORBAアプリケーションを新たなものに更新する。

・冗長性のあるCORBAシステムを集約し,合理化する。その際,機能や可用性は損なわない。

 「Webサービスは,CORBAアプリケーションを拡張する方法として無理のない選択肢といえる。というのも,CORBAやそのほかの分散システム内に存在する重要なデータや機能を流用する方法として,Webサービスはコスト効率が高く,リソースに対する対応が優れているからだ」(IONA社製品管理担当副社長のJoseph Schwartz氏)

 Orbix E2A - XMLBus Edition v5.4の主な強化点は以下の通り。

・CORBAのデータ型への対応:ANY型などに対応するほか,Factory Modelなどの一般的なCORBA設計パターンに直接対応する。

・各種CORBA技術への対応:IONA社の「Orbix 2000」「Orbix 3」「ORBacus」および米Borland Softwareの「VisiBroker」のCORBA技術に対応する。

・Operation Flow Designer機能:オブジェクト・システムとWebサービスを接続する際に発生してしまう「インピーダンス不整合」の問題を解決する。

・SSL機能:WebサービスをCORBAシステムに送信する際にSSLを利用することで,セキュリティを確保する。

・性能向上:旧版のXMLBus技術に比べ,動作性能は2倍。

・「Adaptive Runtime Technology(ART)」:ARTをベースにすることで,企業レベルの品質のWebサービス・アプリケーションを可能とする。

 Orbix E2A - XMLBus Edition v5.4の一般提供は,2002年9月30日に開始する。価格は1開発ライセンス当り495ドルから。早期アクセス版は,IONA社のWWWサイトで直ちに入手可能とする。

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