「遠隔オフィス勤務者の増加に後押しされて,広帯域接続の中でもとりわけDSLを利用する企業ユーザーが増えている。しかし一方で,企業がその用途を小規模の支社や在宅勤務者に限定する傾向が強い」。米In-Stat/MDRが米国時間9月11日,企業ユーザーによる広帯域接続の利用状況に関する調査結果を発表した。
企業が広帯域接続の導入を躊躇する原因として,本社および主要支社の規模,広帯域接続を必要とするアプリケーションの種類,そして企業におけるテレコム・マネージャの広帯域接続サービスに対する先入観などがある。
「従業員数が1000人を超える企業は,従業員があちこちに分散している可能性が高く,従業員同士や顧客とやり取りされるデータが帯域幅の大半を占めている。最近は,データのやり取りがWWW中心に行われるようになったことから,社内におけるアプリケーション・ホスティングとセキュリティの問題が極めて重要視されるようになった」と,In-Stat/MDR社Business Infrastructure and Services Research部門担当ディレクタのKneko Burney氏は説明する。「このため本社や主要支社では,専用回線を好む企業が多い。また広帯域接続そのものに,全く関心がない企業もある」(同氏)
その他の主な調査結果は次の通り。
・大規模な支社や本社では,広帯域接続の利用を躊躇する傾向がある。「本社で広帯域ソリューションを使用するつもりはない」という企業は20%以上。
・DSL,ケーブル,固定無線,衛星通信の4種類の広帯域サービスのうち,月額使用料金と利用のしやすさが同じ場合,本社で利用する広帯域接続として「DSL」を選ぶ企業は37%。また小規模な支社での利用に「DSL」を選ぶ企業は42%。
・本社で広帯域接続を利用する場合,「セキュリティ」および「ホスティング・アプリケーションとインターネット対応アプリケーション」を重要視するという企業は約70%。一方,支社で広帯域接続を利用する場合,「ホスティング・アプリケーション」を重要視するのは同じだが,「セキュリティ」は重要視しないという意外な結果が出た。
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