米E*TRADE Groupが米国時間9月9日に,同社の顧客を対象とした投資方針などに関する調査結果を発表した。それによると,顧客らは「長期的に米国経済は回復する」と考えており,投資対象としては不動産に人気があるという。短期的には,「慎重に財務管理を行う必要がある」という回答が多かったという。

 「2001年9月11日の米国同時多発テロ事件から1年が経つが,このことは顧客の投資戦略には影響しない。2002年7月に成立した企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)も,企業の信頼回復には不十分だ」(E*TRADE Group社)

 調査対象者の90%が,「テロ事件からちょうど1年が経ったが,これは投資行動に影響しない」と回答した。またアクティブ・トレーダの19%は,「9月11日前後に市場が乱高下するので,取引を行う」という。

 約77%は,「企業改革法が企業の不正行為に歯止めをかけることになるが,株式投資に対する意思決定には影響を与えない」としている。「このことは,“法を整備するだけでは,投資家の信頼を回復するには至らない”ことの表れだ」(同社)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・顧客の財務状況について調査したところ,「非常に安心」および「安心」という回答が51%であったのに対し,約49%が「不安」または「かなり心配」と答えた。「不安」という回答は,7週間前の7月初めに行った調査に比べ,9ポイント増加している。

・「現在行っている株式投資を続ける」との回答が61%あった。E*TRADE Group社はこれを,「“今後12カ月から24カ月といった長期的なスパンで経済が復旧する”,という見方が戦略に現れている」とみる。アクティブ・トレーダの40%以上は,「資金を株式またはミューチュアル・ファンド(オープン型の投資信託)に戻しつつある」と答えた。

・「米国経済が6カ月から12カ月後に改善する」との回答が47%あった。これは,7月初めの調査と同じ値である。「米国経済が現状より悪化する」と考えている顧客の割合は,わずか8.5%だった。

・「特定企業の株式を購入する際になにを判断基準にするか?」という問いに対しては,「アナリストの決算予測と同等か上回る結果を継続していること」を「非常に重要」または「極めて重要」とした回答が55%。「株主に配当金を支払うこと」「CEOが個人的に財務諸表を保証すること」を「重要」としたものが30%あった。

・長期的には株式を信頼する傾向が見られるものの,回答者の58%は,抵当の現金購入や家屋の改修などの方が株式よりも優れた投資と考えている。また46%は,「さまざまな資産のなかで不動産投資の方が株式より魅力的」と回答した。

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